[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」11月24日号

「婦人公論」夫婦特集に見え隠れする、バブル世代のほのぼの老後願望

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「婦人公論」11月24日号(中央公論新社)

 「婦人公論」(中央公論新社)今号は、スピリチュアリスト江原啓之と、最近ロックバンド・レベッカを再結成したNOKKOの対談「『レベッカ』再結成の背中を押した出会い」からレビューを始めます。2人の出会いは熱海の寿司屋。初対面に近い江原にバンドの再結成を相談するNOKKOもNOKKOですが、「ノッコさんのお役目ですから、やってください。守られていますから大丈夫ですよ」と言い切るの江原もまた……。20歳でレベッカを結成して人気を得るも、「重荷から解放されたかった」と、27歳でバンドを解散。その後は現夫と結婚、42歳で出産。「妊娠していることが判明した病院の帰り道でのことでした。のんびりと歩く野良猫が、私を見て『私も妊娠したことあるのよ』と話しかけてきた気がして。その瞬間に、これまで自分はロック歌手だ、アーティストだと勝手にカテゴライズしていたけれど、もっとシンプルに哺乳類だったんだと思ったのです」とうっとり話すNOKKOに、江原の持つ最も恐ろしい才能“対談相手がなぜか「その気」になって語り出す”を見せつけられたのでした。

<トピックス>
◎江原啓之×NOKKO 「レベッカ」再結成の背中を押した出会い
◎特集 お金、病、定年後の関係 50代からの夫婦 損しない選択
◎読者体験手記「人生後半に見つけたのは、運命の人!?」

■晩婚勝ち組のご意見です

 人は誰かに相談をするとき、とっくに自分の中で答えが出ているもの。欲しいものは「大丈夫」という確認。これを江原は「お役目」「魂」「真理」などという言葉で絶妙に責任から逃れ、いざその「大丈夫」が「大丈夫」でなかったときも、「そこに執着はなかったか」「失敗こそ自律への道」と新たなスピリチュアルセーフティーネットを作り上げているのです。あぁあほらし。

 今号の特集は、無責任なスピリチュアリストにはとても任せていられない「お金、病、定年後の関係 50代からの夫婦 損しない選択」です。リードによると「子育てが一段落し、定年退職も視野に入る50代は、暮らし方を見直すベストタイミング」なのだそう。前号では墓と葬式で浮世のうさを晴らしていた「婦人公論」ですが、死後の世界に全精力を注ぐ前にやれることはやっておこうという有り難い企画のようです。

 老後資金はどう貯めるべきか、家はどうする、子どもたちへの援助は……とありますが、この特集のメインとなるのはやはり50代からの夫婦の在り様。今の50代はバブル世代のど真ん中で、享楽と狂乱の世を生きてきた人たちです。この世代がこれからどんな「老後」、「夫婦関係」を望んでいるのか。興味深かったのは、山田詠美へのインタビュー「ひとつ屋根の下の他人とはいい関係を築く努力が必要です」。現在56歳の山田は、2011年に10歳年下の文芸評論家と再婚。自身も「(50代からの夫婦インタビューとしては)特殊なケースかもしれません」と話しています。

 「夫がいてくれて本当によかったなと思っています」「夫は日中勤めに出ているので、そろそろ職場を出る頃かなというタイミングを見計らってメールをします。(中略)私はお互いの無事を確かめないと不安なのです」という言葉は、確かに隙あらば夫と別れたいと願う「婦人公論」において特殊なケースなのかも。人気作家としてブイブイ言わせてきた上に離婚も経験した女性が、50代になって再婚したのは「結婚していると、何かちょっとしたことがひとり言にならない。ささやかな感動や悲しいことを言葉にして、聞いてくれる人がいるのは、すごく幸せなこと」という理由から。求めているのはお金でもセックスでもない、精神的な充足。「後半生の夫婦にとって大切なのは、いたわりの心をいかに取り戻すか。この人といい関係を築き直すのは人生後半の大きな課題なのだと意識して、まず自分から変わってみる。その先に、手をつないで散歩する。ほのぼのとした老夫婦の時間が待っているのではないでしょうか」。モラハラ、パワハラ激しい昭和夫に悩まされる女たちを少し下からのぞいてきたバブル世代。揺り戻しという意味合いもありましょうが、「ほのぼのとした老夫婦になりたい」という言葉の裏には、際限のない欲望から早く解放されたいという、この世代特有の思いもあるのかもしれません。

「ほのぼの老後」こそ欲深き女抱きがちな、茨の道なのに

しぃちゃん

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