プリズンアドベンチャーツアーは1時間待ち

大盛況の府中刑務所文化祭で見えた、塀の中の厳しい現実と課題

2015/11/18 14:30
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今年の1日所長はMAXの3人。テープカットで文化祭が始まる

 今年11月3日の文化の日、澄み切った秋晴れの空の下、日本最大の刑務所、府中刑務所で文化祭が行われた。刑務所で文化祭とは、かなりマニアックな気もするが、今年は例年を上回る約1万8,200人が訪れ、賑わいをみせた。先頭グループのひとりに聞いてみたところ、午前10時の開場に向けて8時から並んでいるという。

■地域住民にも人気のディープな文化祭

 人気のスリートップは、「府中刑務所特製パン」「プリズン弁当」「プリズンツアー」。特に、毎年即完売してしまうのが当日2回に分けて販売される「府中刑務所特製パン」。1袋にぶどうパンとコッペパンの2個入りで100円とリーズナブル。しっとりとした食感が人気だという。

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即完売する大人気のパン
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あっという間に長蛇の列が

 また、弁当は「プリズンカレー」「プリズン弁当」(プルコギ)「網走監獄和牛 すき焼き重」の3種類。どれも麦飯入りで、受刑者が食べているものを少し豪華にアレンジしている。文化祭では業者が作っているが、本物のプリズンでは受刑者が自分たちで食事を賄っているという。

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こちらは網走刑務所の中にある農場で育てている和牛を使った丼

 我々の取材に同行してくれていた広報担当者に、「なんだか年を追うごとに参加者が増えますね」と話しかけていたのは、府中刑務所の近隣に約30年住んでいるという女性。文化祭には、ほぼ毎年訪れているそうで、これまでに子どもの勉強机をはじめ自宅の家具をいくつも購入しているという。作りがしっかりしていて、丈夫で長持ちするから気に入っているとか。

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桐だんすなど重厚な家具も多い中、パステルカラーの収納だんすも見受けられた。刑務所で作られる製品のイメージを覆す明るいデザインを目の当たりにすると、なんとも複雑な気持ちにさせられる
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中にはハートの飾りがついた子ども用の棚や、ままごと用のキッチンも

 ほかにも、刑務所職員によって構成されたバンド「デビルス」が、映画やドラマ音楽の演奏を披露。メンバーの紹介で個人名を隠すところに、ロックではない慎重さを感じる。

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「デビルス」というバンド名に一瞬ひるむが、皆さん穏やかそうな方ばかりで、安心して演奏を聴ける
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