[女性誌速攻レビュー]「DRESS」12月号

「DRESS」から独身アラフォー女性が消える!? “らしさ”消失で「読者カタログ」化

2015/11/17 18:00
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「DRESS」2015年12月号(幻冬舎)

 リニューアルから3カ月。「DRESS」(幻冬舎)12月号の特集は、「街コレ・2015冬」。街で見かけた(という体の?)ドレスニスタたちがどーんと50体近く載っています。そして2つめの特集は「働くおしゃれびと」。ファッション、インテリア、そしてなぜかいきなりヘアスタイルを「働くおしゃれびと」の方々を参考に紹介しています。今月号は読者(?)カタログのようです。誌面の大半が読者モデルで埋め尽くされて、素人さん大集号!?

<トピック>
◎街コレ・2015冬
◎40歳からは顔筋メンテナンスの始めどき
◎DRESSのLove Restaurant

■ターゲットは「子持ちじゃなきゃOK」に?

 リニューアルの時にも感じたのですが、今月は特に、“なんだかとってもツッコみにくい”号です。あら探ししにくいというのではなく、「私たちはこれを提案したいんだ!」という編集部の気概が感じられない……。創刊時は、「伊達眼鏡をつけましょう」とか「日焼け肌っぽく見せましょう」とか、かなりとんがった提案をしており、「そんなことするか」と思えるような企画も多かったのですが、個性的な提案をしていたと思います。そんな独特な提案がウケなかったのか、どんどんと没個性になっているような気がします。

 今月号も、たくさんの素人さんが掲載されています。50人は下らない勢いです。それらをまとめることで、編集部のなにかしらの提案が見えるのかもしれませんが、残念ながら何も見えてこない。アラフォーともなると、未婚、既婚、収入と、それぞれの環境は多様になっています。それらに同じ価値観を提供するのが難しいことは、筆者もずっと書いてきましたが、実際に誌面に落とし込むとこんなにも色がなくなるものなのだな、ということも感じます。つまり、確固たる提案が薄いために、「××だから『DRESS』を買おう」と読者に思わせる、“「DRESS」である理由”が見当たらないのです。

 「働くおしゃれびとの部屋Snap!」では、おしゃれかつインテリアにも力を入れている女性たち6名が登場しています。そのうち4名が既婚者で夫と暮らしていて、あとの2人は両親同居とひとり暮らし。子どもがいないことは共通していますが、「あれ、これが『DRESS』の読者層だったのか?」「私は今なんの雑誌を読んでるのだろう?」と思ってしまいました。いつの間に、独身女性ではなくDINKS(古いか)のアラフォーがターゲットになったのでしょうか。そういえば最近は、婚活や結婚系の企画が見当たらないような……。

『DRESS(ドレス)2015年12月号[雑誌]』
「アイツも丸くなったよな」と言いたくなる
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