【最終兵器EXOは東方神起を超えるのか?】第2回

EXOが東方神起を継承するに値する理由――SMエンタの“悲願” 中国進出と軋轢

2015/11/01 19:00

■阻まれ続けた中国進出とEXOの成功

 東方神起はデビュー前より中国進出を想定していた。それは韓中同時デビューではない。韓国デビュー後、足場を固め次第、中国に進出する……そのためにも、グループ名は漢字四文字だったし、それぞれのメンバーにも瑜鹵允浩(ユンホ)、最強昌珉(チャンミン)といった漢字四文字の芸名が与えられていた。これらは全て中国デビューを想定したものだった。

 東方神起が本国でデビューしたのは2004年2月のこと。が、早くもその秋にはファンの間でメンバー交代のウワサが飛び交った。そして混乱するファンをさらに激化させたのが、中国進出の計画の発表だった。それは、中国人メンバーをオーディションで選出し、中国では6人組として活動する、というもの。ファンは5人以外認めないと主張し、翌年、事務所は改めて「中国では6人で、韓日では今の5人で」と発表。ファンの怒りを鎮火させようとしたがかなうことはなく、結局、この計画は立ち消えていく。東方神起の中国進出はファンの猛反発により軌道修正を余儀なくされたのだった。

 3年後、この事務所、SMエンターテインメントは同じ轍を踏む。05年末、13人組男性ユニット・SUPER JUNIORがデビューし、この中には中国人メンバー1人が在籍。彼らもまた、当初より中国進出を目指すグループだった。そして08年、彼らの中の選抜メンバーに、新たな中国人2人(中国人1人、中国系カナダ人1人)を加えた中国向けユニットSUPER JUNIOR‐Mがデビュー。これは“東方神起5人に中国人1人を加える”という発想の延長線上に位置するわけだが、当時はこの新メンバー2人もファンの反発にあった。東方神起と違いこのプロジェクトは大きな成功を見せたが、オリジナルメンバーの13人以外認めないというファンは現在も一定数いる。

 韓国のファンはオリジナルメンバーが1つでいることを尊重し、途中からメンバーを増員することを受け入れなかった。ならば、最初から、中国には中国向けのチームを、韓国には韓国向けのチームを作り、TPOによって2つが1つになればよい……東方神起、SUPER JUNIOR‐Mという2つの経験を活かしこのアイデアは生まれた。それは韓中同時デビューという12人組EXOとして具現化された。

 彼らは韓国マーケットを狙うEXO‐Kと中国マーケットを狙うEXO‐Mからなる。KとMの2つを同時にデビューさせ、ある時は両者が合体しEXOとなりマンモスな存在感を打ち出すという戦略は大成功。ファンクラブの会員数はワールドワイドに330万人を超えている。日本にはこの11月、両者が合体したEXOとして進出する。

 ファンとの軋轢なく、韓中同時に展開する――それはSMにとって東方神起以来の長年の願いで、EXOで初めて実現できた。だからこそ、EXOは東方神起の継承者たるにふさわしいのだ。
(小野登志郎)

最終更新:2016/02/23 15:28
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