[官能小説レビュー]

男と女のセックスをめぐる“負の感情”を描く官能小説家が“怪談”を書く理由

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『女之怪談』(角川春樹事務所)

 官能小説を書く女流作家が、官能小説以外のジャンルでよく書いているのが「怪談」だ。筆者も怪談小説の中に官能的な部分を見つけるたびに、その奇妙な類似を不思議に感じ、サイゾーウーマンの官能小説レビューでたびたび怪談小説を紹介してきたが、もしかすると、著者自身は官能と怪談というものの境界線がもっと曖昧なのかもしれない。

 今回ご紹介する『女之怪談―実話系ホラーアンソロジー』(角川春樹事務所)は、花房観音、川奈まり子、岩井志麻子の3人の女流作家による怪談アンソロジー。普段は官能小説などの媒体で生々しい女性の人生を綴る彼女たちの、実話の怪談話が収録されている。

 読みやすい短編が多数収録されている中、筆者が最も興味深かったのは岩井志麻子氏の『いなか、のじけん、じけん、の、いなか』である。岩井氏の知人女性「瀬戸さん」の出身地である、とある田舎町の物語だ。

彼女が育った「島民全員が親戚」という小さな離島には、ある言い伝えがあった。島民たちが島に流れ着いた1人の遊女を助け、面倒を見るようになると、島民が次々と病に侵され、作物が育たなくなった。島に異変が起きたのはその女性のせいだと感じ、島民は女性を生贄にしたが、男たちは全員死んでしまう。恐怖を感じた女たちは、赤ん坊を連れて次々に島を離れて本土に渡った。生き残った子孫が島に戻り、子が増えたが、その島は今では無人島となっているという。そして「瀬戸さん」は、自分自身をその遊女の生まれ変わりだと信じているのだ――。

 岩井氏も本書で述べているように、田舎にはさまざまな言い伝えや突拍子もない話が転がっている。人々が寄り添うように小さな土地に集い暮らすうちに、彼ら彼女らが発する情念をその土地が吸収するのだろう。ドロドロとした感情が小さな島に蓄積し、たまり続けることで、いつしか嘘か本当かの境目がわからない話が生まれ出る。

 筆者が官能小説と怪談に共通すると感じるのは、“想い”がいびつに形を変える、という部分だ。

例えば、官能小説を読んでいると、「女はセックスをすると相手に感情が芽生えやすい」という描写がよくある。自分の体内に他人を受け入れる「セックス」という行為は、女にとって簡単な行為ではないのだろう。女がセックスをした男に恋心を抱き、彼を想うが成就せず、その肥大する想いによって「苦しい」という感情を胸に抱き始める。いつしかそれは制御が利かなくなり、徐々に相手を困らせるようになるのだ。

 例えば恋人のいる男性に発する「彼女と別れてくれなきゃ死ぬ」という言葉。たとえ本心ではなかったとしても、その言葉は相手の男性を勝手に支配する。男は、何度コールをしても女が電話に出なかった時、「もしかしたら、本当に死んでいるかも」という妄想に駆られ、自責と恐怖に苛まれるだろうし、一方女も「死ぬなんて言わなければよかった」と、同じく自己嫌悪に陥ることがあるだろう。愛情は、時として恐怖と形を変えるのだ。

 官能を書き続け、誰よりも男と女の負の感情に敏感な彼女たちが綴る本書は、官能と怪談が表裏一体だと教えてくれる。
(いしいのりえ)

観音×まり奈×志麻子ってあく強すぎよ!!

しぃちゃん

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