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プチ整形で被害増大! 無許可・無資格が氾濫、中国「地下美容ビジネス」の実態

2015/10/18 19:00
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地下クリニックの摘発時のひとコマ。で施術中、突然、警察の摘発が行われた

 10月1日、広東省広州市で違法な美容機器や薬品を販売するグループが摘発された。同市に住む40歳の女性が、同グループと関係のある美容クリニックで200元(約4,000円)のプチ整形を受けた際、注射の痛みを軽減するとして顔に塗られた薬が、実は「男性用の早漏改善薬」だったことも併せて報じられ、話題となっている。「信息時報」(10月1日付)が報じた。

 この女性は普段から美容に強い関心があり、芸能人のような白くて美しい顔にあこがれていたという。ある日、ネットで「香港・マカオ地区最大のプチ整形を行う世界最先端の美容クリニック」と銘打った広告を発見。たったの200元で傷の残らない安全なプチ整形を行うことができるとあり、女性はすぐにクリニックを訪れた。

 しかし、クリニックの治療室には簡素な手術台があるだけだった。美容カウンセラーを名乗る2人の女性にベッドに寝るよう指示され、消毒もせずに施術が開始された。最初に局所麻酔薬を顔に塗り、ヒアルロン酸を顔に注射した瞬間だった……。

 突然、警察がクリニックにやってきたのだ! 立ち入り調査が行われ、院長とみられる男性をはじめ、職員6人が目の前で逮捕された。この逮捕劇を目の当たりにし、初めてこの女性は同クリニックが違法な美容整形を行っていたことに気づいたという。

 広東省では現在、「毒物・マフィア・強盗」の3項目と「違法薬物・詐欺」の2項目を取り締まる「3+2撲滅キャンペーン」を実施している。警察は以前から無許可・無資格で営業している同クリニックをマークしていたという。

 同クリニックでは、美白やアンチエイジングに効果が期待されている胎盤エキス(プラセンタ)を装った薬品も販売されており、鑑定結果では、更年期障害や分娩後に母乳が出にくくなる乳汁分泌不全といった症状を引き起こす危険な薬品であることが判明。また、女性に使用した麻酔薬・リドカインは、なんと男性用の早漏改善薬のパッケージだったという(リドカインは一般的に局所麻酔や早漏改善薬に用いられるが、2つは微妙に成分が異なる)。

 一方、ヒアルロン酸など保湿を促進させる薬品は皮下注射のみとし、血管へ注射しないよう注意事項として記載されている。血管が詰まったり組織が壊死する可能性があるからだ。しかしこのクリニックで処置していたのは営業職の社員で、3日間研修を受けただけですぐに現場に立たされ、当然何の資格もなかった。皮下注射と血管注射の違いさえこの社員は知らなかったという。また、逮捕された社員には中学生程度の学力しかない職員もいた。

「無許可・無資格の地下美容整形クリニックは中国全土に広がっています。今年7月、南京市で麻薬使用により逮捕された女が、ドラッグ欲しさに地下美容院を経営したことが明るみになり、話題となりました。この女は200~300元(約4000~6000円)で仕入れた美白・小顔になると称する注射薬を1人当たり2万~3万元(約40~60万円)で客に注射し、暴利を貪っていた。顧客は3,000人に及んでいたといいます。美容クリニックで用いる注射の技術は、講習に参加すれば3~4日程度、約3,000元(約6万円)の授業料で身につけることができる。市場に出回っている正規の美容注射は高いですが、ネット上では粗悪品が200~300元程度で売買されている。地下クリニックでの事故も報じられるのは氷山の一角で、実際はもっと多いでしょう」(中国の美容事情に詳しい上海市在住の日本人医療スタッフ)

 2014年度の中国美容業界の統計では、美容業界の就労人口は1,120万人以上に上り、業界規模は年23.8%のスピードで成長を続けているという。市場が巨大化する一方で、同様に拡大する地下美容ビジネスが根絶やしにされる日はまだまだ遠いようだ。
(五月花子)

最終更新:2015/10/18 19:00
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