性差別をどう解決するか。女はひとりの男の「所有物」であるべきと、未だにこの国では思われている。

◎ポリアモリーへの差別にはもううんざり

私と沙世はポリアモリーやノンモノガミーだということで、たくさんの差別を受けてきました。沙世の場合はファッション業界から。私の場合は思想に関わる人々から。差別をしてきたのは、主に男性です。

今回も、私と沙世と今井雅之氏の件をスキャンダルとして利用しようとした人がたくさんいました。私たちは、スキャンダルになること自体が男尊女卑を始めとする性差別に基づいたおかしなことだと思っていますので、それらを「仕方がないことだ」とは思いません(注1)。

とにかく私たちはうんざりしています。下品な人々に侮辱されることも、もう本当にうんざりです。私たちは身の危険を感じることが何度もありましたし、今も、危険と隣り合わせだと感じています。例えば、沙世はこの前東京で痴漢にあい、これから裁判です(注2)。ポリアモリーのことで暴言を吐かれることも多くあります。仕事上差別されることもあります。 (沙世が受けた仕事上の差別については私のBlogに詳しく書きました。)

◎性差別のないパラダイス、イビサ

ついこの間滞在したイビサでは、私たちは身の危険を何も感じませんでした。私たち以外にもポリアモリーの人々がたくさんいて、自然に過ごしていましたし、ヌーディストビーチと銘打ってないビーチでも、美しい女の子たちがトップレスでリラックスして過ごせる安全な空気がありました(注3)。私たちのような男女混合のポリアモリーのグループだけでなく、男だけのグループやカップル、女だけのグループやカップルもいました。BromanceやWomanceのような関係性の人々も沢山いました。(これらは、Tribe cultureやhippie culture、ピュアな愛を目指す思想や非男尊女卑などの結果であり、厳密に分類することにあまり意味はありません)

とはいえ、これらはイビサの中でもディープな場所で見られるものであり、観光でちょっと来て体験できるようなものではありません。ディープな場所には、誰でも行けるわけではありません。アメリカのお金持ちが住むエリアのように塀で囲われているわけではないのですが、センスや教養などで自然にフィルタリングされています。そうして、そこにいる資格がある人だけがいられるようになっています。空港からタクシーでホテルに行き、泡パーティで遊んで夕日を見て帰る人々と、車で移動しながらプライベートな空間と特別なパーティを楽しむ人々は、ほとんど重なり合いません。そして、イビサのディープな場所やcultureは、日本ではほとんど知られていませんし、正確に伝えられることもありません。

◎トライブ = 感情共同体 × 目的共同体

実は、ポリアモリーもイビサと同じで、結局、ポリアモリーという文化の背景にあるものを理解しないと、ポリアモリーについてコアな情報を手にいれることもできないし、ポリアモリーについて正確に知ることもできません。ポリアモリーについて理解するためには、アメリカで最初に起こったサマーオブラブと、その周辺のムーブメント、そして、イギリスで起こったセカンドサマーオブラブなどを包括的に理解する必要があります。

ですので、私たちは、そうした包括的理解なしに、単に、セックスや恋愛の現象としてポリアモリーが取り上げられてしまうことがとても不愉快ですし、私たちのポリアモラスな関係がスキャンダラスに扱われることも、とても不愉快だと感じます。もちろん、愛や性や倫理を語ることも、十分に意味がある議論だと思いますが、BromanceやWomanceなどのホモソーシャリティ、共同体や自治や人権への強い思いや、Tribe culture、Relationship Anarchyという思想などを深く知らずに、ポリアモリーを理解したり実践したりすることは、難しいのです。

私はそういう意味で、少し前に出た深海菊絵氏の『ポリアモリー 複数の愛を生きる』(平凡社新書)について批判的な文章を、Blogにいくつか書きました。こちら

私たちは、日本でポリアモリーは誤解されていると感じます。また、深海菊絵氏のポリアモリーの言説によって、その誤解と差別は更に広まったと感じています。そのため、日本では、ポリアモリーという言葉を使わずに、ノンモノガミーという言葉を使ったほうがいいのかもしれないとも思います。ただ、どちらにしても、偏見や差別はあるでしょう。政治やマスメディアやビジネスの場では、女性はひとりの男性の「物」「所有物」であるべきという思想を背景にした、女性差別的な発言が繰り返されていますから。震災以降、そうした発言は加速していて、なかなか危険な状況です。

◎性差別をどう解決するか

私たちは、自分たちにとってナチュラルな生活をし、ハイクオリティな仕事をするために、環境を整えていっています。そのひとつが、イビサに拠点を持つことです。

私たちに限らず、日本の多くの女性は、今、苦しい状況にいると思います。税金はどんどん高くなり、子育てにはお金がかかり過ぎ、男尊女卑はひどく、この先の生活保障にも期待はできない。このような状況では、お金をいくら稼いでも無意味に感じてしまいますし、「不安をごまかしながら何も考えずに過ごすことが一番」と逃避してしまうこともあるかと思います。

でも、世界に目を向ければ、まだまだ諦める必要はないことが分かります。今、日本の女性がどれだけひどい目にあっていて、それがどれだけ異常なことなのかを、きちんと認識することもできます。

もちろん、日本の政治や社会を変えていこうとすることも大切です。しかし、政治や社会に関わり、政治や社会を良くすることが出来るのは、自立した個人です。政府に依存しきっていれば、政府の言いなりになる他ないからです。(これは、国家と国民、社会と個人の関係だけでなく、家族と個人の関係や、会社と社員の関係など、すべてに当てはまることですね。)

性差別が蔓延する日本の政治や社会を変えていくためにも、ひとりひとりが日本だけに依存せず、政府や行政や大企業や円や銀行に依存せず、足場を世界中に持ち、自立していくことが大切です。そして、そのためのひとつの方法が、ノンモノガミーとトライブ。ひとりひとりが自立しながら共同体をつくり、みんなで助け合って生きていくライフスタイルです。

<沙世による注>

注1 「不倫」みたいな下品な言葉を私たちは日常生活で使ったことがないし、そうした言葉を使って人を侮辱することは下品の極みね。

注2 この前東京に数日間帰国した際、渋谷で痴漢にあったときのこと。TSUTAYA付近の人通りの多い道で友達を待っていたところ、いきなり股間とお尻を掴みあげられた。これは立派な犯罪。犯人は示談したいと言ってきたけど、私は痴漢された瞬間から、法で裁いてもらうと決めていた。
このような犯罪を野放しにしてはいけない。女性が、痴漢にあっても何もせず、示談で済ますなど、弱気な姿勢でいては、日本の劣化は加速していく。
私は決して男女平等を目指しているのではなく、非男尊女卑運動、男尊女卑撲滅を目指している。私は、私個人の問題ではなくこの国の問題として、裁判に挑む。この腐りきった日本のため。

注3 日本だとトップレスやノーブラだとうるさい人がいっぱいいるけど。ここだと私は何もおかしくなくてとってもリラックスできた。

■赤坂“ユニコ”菜生/テトラヒドロン人間関係研究所所長。日本におけるポリアモリーコーチングの第一人者としてPolyamory JPを運営。

■赤坂沙世/活動家。モデル、フォトグラファー、様々なアートディレクションを手掛ける。世界各国で活躍中。

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