オナニーのやり方なんて教わらなかった。「精通お祝いパーティー」をきっかけに考える性教育の必要性

 初潮を迎えると、赤飯を炊く習慣っていまでも続いているのでしょうか? 私(アラサーの男性)は姉も妹もいない家庭で育ったために実際にこの習慣を目にしたことはありません。全国でどのくらい残っている習慣なのか、気になるところです。

 今回は生理ではなく、精通について思うところを書いてみたいと思います。というのも先日togetterでこんな記事を見かけたのです。

『思春期の息子に精通があった時どうするか』育児本の内容にひっくり返る人々「どんな地獄だよ」
http://togetter.com/li/882455

 「精通お祝いパーティー」と称して「精通があったら白いケーキでお祝いする」ことをオススメする記述を育児本で見つけたというツイートに対して、様々な反応がまとめられています。「トラウマになる」「おねショタ(※「年上のお姉さんとローティーンまでの少年の組みあわせ」らしいです)が捗る」「初潮はお祝いして、精通はお祝いしないのは不思議」「なぜ白いケーキなんだ」「赤飯を嫌がる女性の気持ちが分かった」といったツイートが見られます。

●エロ本とAV以外に教科書はない

 私が「初潮を迎えたら赤飯を炊く」という習慣を知ったのはだいぶ遅かったように記憶しています。学校の授業や友人との会話の中で話題になったことはあったのかもしれませんが、知識として身についたのは高校生くらいだったように思います。

 そもそも私が育った家は「性の話」をタブー視する傾向が強くありました。テレビでセックスシーンやそれを匂わせるシーンが流れるとチャンネルが変わる。それも、性的なシーンが出た瞬間に変わるのではなく「CMになったし……」的な感じで、さりげな~く別の番組に変えられていました。過剰な反応をすることで、むしろタブーが浮き彫りになるのではなく、「そんなものは存在しないよ」とでもいうような、何気ない反応でした。「なんとなく気まずい」のはどの家庭でもあるかと思いますが、我が家にはそれ以上の抑圧があったように思います。

 中学生のときだったと思います。リビングに行くと、母と兄がドラマ『3年B組 金八先生』を見ていました。性教育のシーンでコンドームが取り上げられていたのですが、その時、母が兄に対して「ちゃんと付けるんだよ」と言ったことが今でも強く記憶に残っています。初めて私の家で「性」の存在が公式に認められたような気持ちでした。「そうか、存在していいのか」という気になった。まあただのイレギュラーで、以降「性の話」が出た記憶はまったくありませんが。

 家に限らず小学校でも中学校でも、性教育が行われた記憶はほとんどありません。「保健・体育」の中で、ある程度はやっていたんでしょう、たぶん。中学校によくわからないおばさんがやってきて、性教育の特別授業が開かれたことは覚えています。でも記憶にあるのは「女性器は石けんで洗っちゃ駄目よ」と言っていたことと、「結婚するまでセックスしたことがなく、エロ本も読んだことがなかった男性が、結婚をして初めてセックスすることになったときに妻の顔射(顔に射精)してしまい、離婚することになった(男性は直前にセックスの勉強としてAVを鑑賞していた)」というストーリーだけ。他にもいろいろ話していたんでしょうけど、真面目に聞いていなかったのか、まったく記憶にありません。

 というわけで、初潮や生理がいったいどんなものなのかを知るのはとても遅かったですし、精通がなんなのかも知らなかった。というか自分がいつ精通を迎えたのか覚えていません。小学生3年生くらいから、兄の部屋にあるエロ本(主にマンガ)を見るようになったので「エロいこと」という認識はありました。でも、その行為がなぜ行われているのかはわからなかった。「子供には関係ない何か」「大人になったらわかること」だと思っていました。ちなみにセックスで子供が出来ることを知ったのは中学生のときです。もっと遅かったかもしれない。

 兄の部屋にあるエロマンガで描写される様々な所作に、どんな意味があるかわかっていませんでした。そのため正しいオナニーのやり方を知らなかった。オナニーという言葉すら知らなかった。「こうするとなんか気持ちいい」「で、そのうち白いのが出る」と、試行錯誤の上で自分なりのオナニーを身に付けました。それも全然正しいやり方じゃなくて、いわゆる「床オナ」というやつです。日中に兄の部屋に忍び込み、エロ本を抜き取っては、布団や床にチンコをこすりつけていました。いわゆる正しいやり方(しごくやつ)でオナニーを始めたのは高校生後半のような気がします。それも最初はうまくいかなかった。これまでの方法とあまりに違うので、コツがわからなかった。右手でやるのか、左手でやるのかもわからなかった。しかも最初は「皮オナ(皮を上下させるオナニー)」でしたし。「チンコの皮を剥く」なんて全然知らなかった! 正しいオナニーが習慣化したのも、「チンコの皮を剥く」ことを知ったのも、「セックス」が他人事ではなく、自分もセックスする可能性が出てきた高校2年生か3年生のときでした。「やべえ、このままじゃセックスできねえ!」と焦ったことを覚えています。

 セックスが他人事じゃなくなり始めたとき、とにかく知らない事だらけだと気がつきました。エロ本やAVで行われる行為のどこまでが、「普通」に行われていて、どこまでが「演出」なのかがわからない。先ほど顔射をした男性の話を書きましたが、顔射がよくあることなのか、まったくありえないことなのか、いまでもわからない(のでやったことはありません)。フェラチオを初めてされたときは、とにかく申し訳ない気持ちでいっぱいでした。なにが「普通」なのかわからないので、「普通」とされていることを疑うこともできなかった。とにかく不安でした。というか、今でも不安です。

 私は特別珍しいケースではないように思います。messyの数少ない男性読者も、細かい部分はさておき、同じような経験をされているんじゃないかと思っています。

 話がかなりそれてしまいました。私は「性の話は隠されてきたのだから、togetterで紹介されていた精通お祝いパーティーは素晴らしいことだ」なんて言いたいわけじゃありません。「エロ本やAVが性の教科書」で手に入れた昧な知識のまま思春期を過ごさせないで欲しい。学校で、きちんと身に付く形で性教育をやって欲しい、ということです。

 算数なり国語なり、テストや将来に関係ある教科は真面目に受けると思うんですよ。そうした教科がメインだとしたら、「保健・体育」ってどっかサブなところがあるじゃないですか。手を抜いてもいいというか、「保健」の授業って他の教科に比べてほとんどやらないし、、テスト前に教科書を見れば簡単に満点が取れる。どうでもいい教科だと思うんですよね。

 そんな態度で授業を受けていたら、当然知識は身に付かないでしょう。小学生に対して、どこまでリアリティのある授業を取るべきかは議論の余地があると思いますが、「適当に受けられる」状況は直していく必要があるように思います。また中学生・高校生の段階でも、「めんどくさい授業」とは違った形で、性教育を行って欲しい。だんだん自分事になってくる年齢ですし、その間に偏った知識を豊富に取り込んでいることでしょう。「普通」とされているものを、望ましい方向に書き換えるような授業を行って欲しいと思います。

 messyに、「【messy調査】9割が「子供に性教育を行う予定」」という記事があります。ほぼ多くの方が「性教育を行う予定」と答えていますが、どこまで踏み込んだ性教育なのか、この調査ではわかりませんし、正しい性教育なのかもわからない。大人に「正しい性の知識」があるとも限らないですからね。大人である親自身、ちゃんと性教育されていなければ、チンコの皮をむいて洗うことや(私は教わりませんでした)、生理への対応ができない人もいるでしょう。シングルマザーやシングルファザーの場合、子供が異性だと「教えようとしても嫌がられる」「どうやって教えればいいのかわからない」という傾向は強くなるかもしれませんね。

 セクシュアルマイノリティの存在も、大人になってから少しずつ知識を身につけてきました。きっと子供の頃に、差別的な言動を多々取ってしまっていたのだと思います。ひとりの男性として、正しく意味のある性教育が公的に行われて欲しいという願いを書いてみました。
(中昧きよし)

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