これぞ少女漫画の金字塔

『ガラスの仮面』茶話会に見たファンの熱量―「紅天女問題」「月影先生の年齢」白熱の120分

2015/09/26 19:00

 最近の少女漫画は、主人公とつっくつくわけではない「当て馬」キャラの男性も魅力的に描かれるが多く、「どの男性キャラが好き?」という質問には、意見が分かれることもありそうです。しかし『ガラスの仮面』は、明暗がくっきり。完全に桜小路くんは脇役扱いでした。とは言え、この作品の面白さはイケメンキャラにあるわけではないようで、速水さんのことが好きで好きで、「切り抜きを下敷きに入れてました!」というような参加者はいませんでした。『ガラスの仮面』の魅力は、無茶な演劇レッスンを繰り返すスポ根テイストや、ストーリーをきちんと描く劇中劇、立場が明確なキャラクターたちにあるのかもしれません。

■『紅天女』は誰が演じるのか?

 参加者の多くが口をそろえて言っていたのが、「どうか最終回まで描ききってほしい」ということ。連載自体40年近く続いているため、美内先生もいい加減お年のはず。「数年前のサイン会で元気な姿を見た」という参加者の言葉に、会場からは安堵のため息が漏れていました。『王家の紋章』はどうやら終了しないらしい(「死ぬまで描く」と作者が公言しています)ですが、『ガラスの仮面』は、『紅天女』を演じるという大きな課題があるので、ラストはどうしても気になるファンが多いようです。

 さてその「ラストはどうなると思うか?」も議題に上がりました。だいたいが「マヤは速水さんとくっついてほしい」という意見でしたが、物語の核となる『紅天女』の主演については、なんだかんだ努力しているのはマヤよりも亜弓さんの方なので、「亜弓さんにやらせたい」という意見が多数でした。

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閉会後も名残惜しく漫画を読む参加者たち

 今回、茶話会に参加して思ったのは、子どもの頃から『ガラスの仮面』に親しんできた参加者だけあって、「思い入れも目の付け所もそれぞれ」ということ。例えばマヤが住み込みをしていた中華料理店の娘・杉子の彼氏は松本くんという名前らしいのですが、「彼の着ているシャツの胸には大きく『松』と書いてある」など、今ではあり得ないセンスに笑いどころを見つけている人、「『韃靼人』という言葉を知ったのはマヤのセリフが最初だった」と語る人もいました。その視点の数だけ『ガラスの仮面』は“愛されている”のでしょう。

 茶話会終了後、参加者の半数くらいはそのまま残ってお食事しながら漫画を読み返し、復習していったようです。あらためて『ガラスの仮面』の魅力を確認し、こんな作品に出会えて幸せだと実感できる時間でした。

読ム読ム
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和久井香菜子(わくい・かなこ)
ライター・イラストレーター、少女漫画研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、語学テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。街で見かけたおかしな英文から英語を学ぶ「Henglish」主宰。

最終更新:2015/09/26 19:00
『ガラスの仮面 49(花とゆめCOMICS)』
あたちの好きな台詞は「おらあトキだ!」
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