檄文! 新世界の男たちよ、「据え膳食わぬは男の恥」という概念を捨てよ

 「据え膳食わぬは男の恥」という言葉がございます。女性のほうから(おセックスの)お誘いがあったならば、それに乗らないと男ではない、と意味の諺ですが、これは男女の関係性かくあるべし、という一般的な価値観を端的に表しています。そもそも女性が「据え膳」つまりは、食べられる対象であり、そもそもそういうお誘いは女性のほうからはまずないレアケースである、と文脈のなかで生きている言葉です。すなわち、情事の駆け引きをめぐる男女の非対称性が如実に表出されている一文なのです。

 据え膳食わないのが「男の恥」なのは、「女性経験の数が男の勲章」的なマッチョな価値観の反映でもあるでしょうが、それだけではありません。そこには、女性からのお誘いが珍しく、また、女性から誘うのは道徳的にも非難される可能性がある(=ビッチよばわりされかねない。つまり女性にとって勇気が要る行為だった)から、その気持ちを慮って、男は誘いを受けてやらなくてはならない、という男性中心主義的な「思いやり」もあるように思います。「女性に恥をかかせてはいけない」から、誘いを受ける。武士の情けでセックスしてやる、的なものすごい思い上がりが、この言葉から感じられます。

◎一夜の過ちは文字通りリスキー

 私がまだ年若く、いまよりももっと傷つきやすい心を持っていた時分に「据え膳」を用意されていたら、「これを食わねば、男の恥だ!」と思って飛びついていたでしょう(『いつ何時、誰の挑戦でも受ける』というアントニオ猪木スタイルで待っていたのにも関わらず、そんな挑戦を受けたことはなかったですが)。

 しかし、20代を過ぎて家庭を持ってしまった今になってみると、据え膳が用意されたとしても、まったく飛び付く気にはなりません。なんだかんだ、一度セックスすると面倒なことになりがちですし、リスクを冒してまでセックスをする気にもなれない。今の方が若い頃よりもお金はあるし、素敵な遊びも知っているけれど、ヤッた人数が男の勲章的な価値観にまったく乗る気になれません。

 そのうえ、女性が据え膳を用意することも今の時代ではそれほど珍しいこととも思われません。「肉食女子」・「草食男子」という言葉が一般化して久しく、「女性から誘うのは、はしたない」などというヴィクトリア朝的な道徳も若い世代では問題にされることが少ないでしょう。据え膳を食わなくても、男の恥ではないし、失礼でもない。むしろ、武士の情けでセックスする方が失礼であり、たとえその場で一夜限りの関係を持ったとしても、交際に発展させなかった場合、相手の女性から後に「ヤリ捨てされた」「粗チンだった」「クソ男!」等と吹聴されかねません。やっぱりリスキーだと思います。

 昨今流行りの恋愛工学に代表されるような「男が女をオトす」というメソッドやナレッジは、旧世界的なものと言うこともできましょう。新世界の男子が学ぶべきことは、望んでない据え膳が来た場合に、上手いことスルーするテクニック、あるいは上手いこと断って、その後の人間関係を普通に、円滑に営んでいくテクニックなのではないでしょうか。

◎男は「口説き方」以外の恋愛作法を知らない?

 しかしながら。若年層向けの女性ファッション誌には「好きじゃない男性からの誘いを後腐れなく断る方法」のような知見が充実しているのに、男性ファッション誌には相変わらずモテるための方法、男が女をオトすためのメソッドしか載っていない。男のモテ観は、いまだ旧世界の概念をひきずりまくっているのです。だからこそ、こういう戸惑いが生まれてくる。

■ 女性からの食事の誘いの断り方を考えてくれ

 このまとめでは「バイト先の年上の女性に誘われているが断り方が全然わからない」という男子が、人間関係を悪くしないで、上手いこと状況を切り抜ける方法を求めています。これに対して提案されているのが「バイトを辞める」、「用事があるんで、と言う」、「彼女がいるんで、と嘘をつく」と実に貧困な案ばかり。

 こんなとき、女性ファッション誌だったら「一度だけ食事に行って『今日は楽しかったですね。今度はみんなで行きましょうね!』とメールする」ぐらいの「相手が嫌な気持ちにならない付き合い方」の案がでそうなんですけどね……。

 男性たちは、「女を口説く」ことについて熱心に学ばされていますが、それ以外のやり方で女性と良好なコミュニケーションをとることに関しては、まったくノータッチのまま生きています。そして相手がたとえ女優やアイドルといった“縁遠い職業”に就いている場合でも、その女性に対して「ヤレるorヤレない」の判断を下そうとする習慣を身に着けてしまっている。これでは一般の女性が「性的目線でばっかり見られて嫌だ」と不快感を表明するのも当たり前ですが、男性としても「据え膳食わぬは男の恥」と同様、「良かれと思って」、女性の性的魅力を品評しているのかもしれません。21世紀になって15年が経ちますが、男女のすれ違いはまだまだ続きそうです。

※ 余談ですが、英語では「据え膳食わぬは男の恥」と同じような言い回しとして”It is time to set in when the oven comes to the dough. ”(かまどの方がパン生地の所へやってきたら、パン生地をかまどに入れてやる時だ)という表現があるようです。これは男女の性器の形状を秘めやかに暗示しており、思わず半笑いになってしまいます。

■カエターノ・武野・コインブラ
80年代生まれ。福島県出身のライター。

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