資本金が1億円にダウン!

「1日あたり10万円」の製作費打ち切り! 吉本興行、地方劇場“閉鎖”の危機に?

2015/08/05 16:30
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沼津ラクーンよしもと劇場公式サイトより

 吉本興業が、事業の元手となる資本金を約125億円から1億円に減資することを発表した。資本金が1億円になれば、税制などで中小企業扱いになるとあり、話題を集めている。吉本は、「取り崩した資本金を、中長期的な投資に回すのが目的」と説明したが、関係者は、同社の苦しい懐事情をこう語る。

「この夏から、大宮ラクーンと沼津ラクーンに入っている劇場の製作費が打ち切りになると聞きました。当初パチンコ店として出店する予定だったラクーンは、地元住民の反対にあった。それで複合商業施設として出店することで、どうにか許可をもらったという経緯があるんです。そのため、劇場を誘致するためラクーン側が吉本に頼み込んだんですよ。吉本は、その条件として毎月製作費を出してもらうことで手打ちしたとか。1日あたり10万円、1カ月で300万円ほどラクーン側から製作費を補助してもらっていたようです。しかし打ち切りにより2劇場で年間約7,200万円の収益減なので、かなり痛いですよね」(週刊誌記者)

 ラクーン側としては、劇場に来る客にホールや飲食店を利用してもらうことで施設の売り上げアップを目論んでいたというが……。

「ふたを開けてみたら、駅前という立地にもかかわらず、劇場の来場者が想像以上に少なかったため、これ以上続けても施設としてメリットがないと判断したようです。沼津は東京や大阪から芸人を派遣する交通費もバカにならない。そのため製作費援助の打ちきりを決定して、早ければ来春閉館も視野に入れているようですよ」(同)

 来場者の少なさは大宮ラクーンも同じだというが、こちらはある秘策により閉館はまぬがれそうとのこと。

「大宮では、芸歴10年以上の芸人たちによる『ギャラクシーバトル』というものが定期的に行われているのですが、このライブは芸人たちがチケットを全て買い取るシステムのため、客が入らなくても赤字にはならないんです。でも製作費補助が打ち切られれば、ギャラの高い有名どころをブッキングできなくなるため、厳しい状況であることは間違いありません」(放送作家)

 「沖縄国際映画祭」など、赤字事業により経営が厳しいと伝えられている吉本興業。2015年3月期決算の純損益は赤字に終わり、同社の利益剰余金は3月末時点で140億円のマイナスであると報じられている。これで劇場まで閉鎖されれば、さらなる経営悪化の道を辿ることになりそうだ。

最終更新:2015/08/05 16:30
『どうしたらおもしろい人間になれますか? ~よしもと式クリエイター養成講座の現場から~ (ヨシモトブックス)』
う~ん、なかなかの没落感
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