じゃんぽ~る西さん×西村・プペ・カリンさん夫婦対談(前編)

愛の表現が真逆な日仏夫妻が語る、「恋愛を遠ざける日本」と「家族の価値を失わせたフランス婚」

 愛と自由を重んじる国・フランス。恋人たちはカフェで、メトロ(地下鉄)で、交差点で、愛を語らい、キスをする――。それは確かに多くの日本人が憧れるロマンチックな男女の関係だが、それだけが愛の形ではないし、シャイな日本人には現実的な男女の距離感ではない。

 じゃんぽ~る西さんと西村・プペ・カリンさん夫妻が発売した、『モンプチ 嫁はフランス人』(祥伝社)、『フランス人ママ記者、東京で子育てする』(大和書房)には、恋に奥手・愛の表現が苦手な日本人男性と、家族と愛のために仕事と育児に奮闘するフランス人女性のリアルな生活がそれぞれの視点から描かれている。“恋愛の土壌”がまったく異なる2人の生活だからこそ、本当の「愛」の輪郭が見えてくる?

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じゃんぽ~る西
日本在住のマンガ家。31歳の時にパリで1年間暮らし、帰国。オシャレなだけではないパリを描いた、『パリ 愛してるぜ~』『かかってこい、パリ』(ともに飛鳥新社)などを発表。2012年に結婚。妻カリンさんが産後3カ月で復職したものの保育園が空かず、5カ月の間、育児を担当。新刊『モンプチ 嫁はフランス人』ではカリンさんとの文化・習慣の違いや育児中の発見を、時に鋭く、時にユニークに描いている。

西村・プペ・カリン
フランスのテレビ局で技術責任者をしていた27歳の頃に、プライベートで訪れた日本の魅力にハマり、2002年から日本で暮らし始める。04年末からはAFP通信社の東京支局にジャーナリストとして所属し、福島第一原発へ安倍晋三首相の同行取材をした経験も。毎日、新聞2ページ分を辞書片手に翻訳し、NHKのニュース番組で発音を確認するという勉強法で日本語をマスターした努力家。

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ふたりを結婚へと導いた運命のボディタッチ(C)じゃんぽ~る西/FCフィールコミックス/祥伝社

――まずはお2人の出会いを教えていただけますか?

西村・プペ・カリンさん(以下、カリン) 一番初めは、フランス人マンガ家の来日パーティーですね。そこで互いの友人に紹介され、彼がフランスについて描いたマンガを教えてもらったんです。後日、感想をメールして、いったんはそこで交流が終わったんですよ。

じゃんぽ~る西さん(以下、じゃんぽ~る) そのあとに、漫画家をやってるフランス人の友人が「なにか仕事ないかな~」と言うので、カリンに紹介したんです。

カリン ちょうどそのとき、日本の家電メーカーの新商品、例えばマッサージチェアとか温水洗浄便座とかフランスにないモノを紹介しながら、その商品が生まれた背景を解説するコラムをフランス人に向けて書いていて、日本人のイラストの方が喜ばれるし、面白いだろうと。だからその友人じゃなくて、彼にお願いしたんです。

じゃんぽ~る 友人との帰り道は気まずかったですね(笑)。コラムは週1回だったので、毎週会うようになり、そのまま付き合っていくという……。

カリン 私は彼に好意を持っていましたから、一緒にレストランに行ったときに、「ねえ、やりたいことやっていい?」と宣言して、彼の肩にタッチしたんです。そうしたら彼がビックリして、コップの水を2杯も3杯も飲み干して(笑)。

――カリンさんの本の中でも、その時のじゃんぽ~るさんを「窒息しそう」と書かれていましたね。じゃんぽ~るさんは、いつからカリンさんを女性として意識されていたんですか?

じゃんぽ~る 僕はそれまで感じていた恋愛やセックスに関する段取りや手続きの面倒くささにうんざりしていて、付き合うまでの男女の駆け引きとか告白とかが本当にくだらないと感じていた時期で。だから、誰かに「付き合って」と言われたら、よっぽどのことじゃない限り、誰とでも付き合っていたと思います。その頃、僕は日本人から見たフランス人のことをマンガに、彼女はフランス人から見た日本人のことを本として書いていたので話も合ったし、「この人は面白いな」と、「好きだな」とは感じてました。

――フランス女性というと、言い寄る男性をむげにすることで恋愛の主導権を握っていくというイメージがあるのですが、お2人の場合はカリンさんが積極的に動いたんですね。

カリン 10年以上日本で暮らしていてわかったことは、ほとんどの日本人男性はナンパしないということ! フランスではいつもナンパされているから、なにもしなくても恋人ができるんです。でも日本ではずーっと待ってても来ない。興味を持った相手がいたら、自分から積極的に動かなければ関係が進まないと気づいたんです。

じゃんぽ~る 確かに話を聞いていると、日本に住んでいる外国人女性は、ある意味モテない。きれいな人だけど、付き合おうとまでは思わない日本人男性が多いみたいで。僕から見てもきれいな女性だから、周りの男性は高嶺の花だと思って声を掛けないんだろうけど、彼女たちからしたら「日本人男性は声も掛けてくれないし、冷たい」って。

カリン 日本人の男性は、言葉のハードルをすごく高く感じているみたい。フランス人男性だったら、言葉が通じなくても手や表情を使って、どんな方法でもコミュニケーションを取ろうとしますよ。

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