水に感謝しながら入浴すると肌がきれいになる…!? スピ美肌本がヤバ!

 数ある疑似科学ネタのなかでも、超有名な『水からの伝言』(江本勝著)。「ありがとう」などのきれいな言葉をかけると美しい結晶ができることから〈水が言葉を理解する〉というお説を打ち出し、シリーズ累計250万部突破。しかしその後、科学者たちに「ないない」と論破され、今やすっかり笑い話状態です。なのでこの水ネタを楽しむならば、単純に結晶の美しさに癒されるとか、〈安倍晋三〉と書いた紙を貼って実験してみるとか……そのくらいが適当かな、という気がします。

 ところが、そんな〈ありがとう水〉が世に広まった1999年から10年以上たった2013年、『スピリチュアル美肌革命』(神岡シンゴリス著)なる電子書籍で〈言葉で水の波動を高め、美肌を作りましょう〉なる提案が! まだ言うか! 言っちゃう人が、いるのか!

 同書では、こんなお説が語られていました。〈水に言葉を投げかけると、その言葉に結晶の形が影響される。それと同様に植物も言葉によって枯れたり花が咲いたりして、同じ結果になる〉そして著者は〈気づいてしまった(原文ママ)〉そうです。植物が言葉で変わるなら、同じように水分を持つ人間も同じ効果が得られるんじゃないかと。

 そこで〈体全体が水で包まれるお風呂〉に着目。今まではシャワーですませていたのに、湯船につかり〈元気になる言葉を魔法の呪文のように〉つぶやくと、なんということでしょう。何をやっても治らなかった赤いポツポツが、サーッと消えていったのです。だそうです、ふう。

 感謝の言葉を投げかけた水が、体にいい作用を及ぼす。それならば、スクール水着の股部分から流れる、別の〈ありがとう水〉や、お嬢様のための美の聖なる水でありプリンセスホーリーウオーター(By開発者)である〈お嬢様聖水〉は、これらに感動する一部の男性たちのお肌をピッカピカに磨き上げそうですが。

 著者は〈ありがとう風呂〉で肌トラブルが改善された効果を〈現実は小説よりも奇なり〉と言いますが、それって血行が改善されてターンオーバーが整ったからでは~。ぜんぜん奇じゃない。

 あ、でも風呂につかってポジティブな言葉を口にするだけではないようです。ポイントは、〈口に水を含んで、湯の中で浮き、安心と感謝を感じること〉なんだとか。その理由は、〈生まれてから今までの間、もっとも美肌だったとき=生まれた瞬間〉の状態を再現して宇宙とつながるため。そうすると波動がアップし、入浴タイムに生まれかわる=魂をアップデートすることができるのだとか。

◎電子書籍界はトンデモ本が花盛り

 宇宙と波動と美肌がどうリンクしているのかよくわかりませんが、ひとつ訂正させていただくなら、生まれたての赤子は、決して美肌ではありません。胎脂、血液、羊水まみれなのは肌そのものではないのでさておきで、肌は羊水でふやけてシワシワ。さらに2~3日もすれば、急に乾いた空気にさらさるので、粉拭き芋のようにカッサカサ。ヒーリングはイメージが重要なのかもしれませんが、美肌づくり=スキンケアは体の仕組みを正しく理解することが必須ですので、適当トークは控えたほうがよろしいかと。

 同書では「だから僕がプロデュースした波動水を買ってネ!」という展開が出てこないだけマシかもしれませんが、〈お湯に塩orお酒を入れて浄化!〉などのスピ的入浴法のほうが、いくぶんか美肌効果は高そうです。著書はオイルマッサージをするときも〈水と同じ液体だから〉という理由で〈ありがとう〉と声かけしながら行うのだとか。同じ液体って、ずいぶん雑だな、おい! しかしこれくらいヌケていたほうが(天真爛漫と言うべきか)、好感が持てることは確かです。

 ちなみに著者のプロフィールは、13年間ソニー・ミュージックエンターテイメントに勤務したという心理カウンセラー。同書には水の美肌効果に加え、〈オーブの写真〉なども掲載され、目に見えない世界をこよなく愛していることがよくわかりますが、『水からの伝言』の世間的評価など、目に見える世界のお勉強もなさったほうがよさそうです。

 電子書籍が普及してから誰でも手軽に著作を販売できるようになり、このような謎本が大量に世に送り出されているので、〈わけがわからないよ〉な話が以前にもまして続々と入手できるようになりました。もはやウォッチングが、追いつかない(嬉しい悲鳴)! そんな感謝の気持ちに満ちあふれながら毎日湯船につかっている私ですが、電子書籍普及前と現在では、加齢の分、今の方が確実に汚肌です。

(謎物件ウォッチャー・山田ノジル)

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