小泉進次郎氏が未婚化・少子化について語る「婚活サポートコンソーシアム」第一回シンポジウム開催。

 少子化・未婚化問題に対し、婚活サポートという側面から解決を図ることを目的とした「婚活サポートコンソーシアム」の第一回シンポジウムが先日開かれました。

 スペシャルトークセッションには、小学館の敏腕女性編集者・畑中雅美氏、育休を取得した社長として有名なサイボウズ株式会社代表・青野慶久氏、テレビなどのコメンテーターとしても活躍している社会学者の古市憲寿氏、そして衆議院議員の小泉進次郎氏など、豪華メンバーが勢揃い。

 登壇者のうち、既婚者はなんと青野氏1人だけ。未婚化・少子化を語るには異色な人選ですが、だからこそ斬新な切り口でのトークが期待できそうです(以下敬称を省略させて頂きます)。

◎政治家にはワークライフバランスの区切りが無い

 冒頭から古市氏が「なんで未婚化が進んでいると思います?」と独身の小泉氏に切り込みます。そういう古市氏も結婚していませんが、30代後半の男性未婚率は35.6%なので、お二人はマイノリティという訳ではありません(総務省「国税調査」2010年)。

小泉 ケースバイケースで一人一人違うとは思いますが、僕の場合は「政治家」の生活の中で「ワークライフバランス」を確立できる方法が無いんです。政治家は職業ではなく生き方。どこまでが政治家(ワーク)で、どこからがプライベート(ライフ)という区切りはありません。ですからどこでバランスを取れるのか、というものでも無い。常々思うのは、「ワークライフバランス」を政治家に語らせることほど説得力の無い話はない。

 確かに、月から金まで国会や委員会に出席し、土日は地元の後援会や会合に顔を出している生活では、ON/OFFが区切れないですよね。国会議員に限らず、そういう働き方の人は、少なくないと思います。

青野 このメンバーだと自分はワークライフバランスの推進者に見えるかもしれません。私はITベンチャー企業の社長です。昔は、布団に入ってまぶたが落ちるまでPCを開いていたし、寝ている暇なんてなかった。それで満足でしたし、そういう生活が好きでした。だから社長の自分が育休を取るという話が出た時も、最初は「俺は違うポジションだろ」と思っていました。でもとりあえず、取るだけ取ってみたんです。

育休を取ってわかったのは、子育てという仕事を女性1人に押し付けるのはムリがあるということ。24時間365日休み無しで、しかもミスした瞬間死ぬんですよ、子供が。めちゃめちゃ重い仕事です。でも、女性に押しつけるのはムリがあると頭で理解できても、心は「昭和」なんです。働きたくて仕方ない。

畑中 私も青野さんと同じで、ワーカーホリック。仕事が楽しくて、寝る時間以外ずっと働いていたい。自分で言うのもなんですが、私はヒットメーカーです。だからライバル社のひとに「畑中には早く産休に入って欲しい」と言われたりもする。もちろん褒め言葉だって分かっているし、その場では笑っているんですが、少しずつ負の感情が降り積もっていくんですよね。

産んでからすぐに戻って来られるなら、私だって産休・育休を取りたい。でも実際は、戻ってきたいと悲鳴を上げても難しいじゃないですか。育休は、取りたくて取ってる人もいますが、取らざるを得なくて取っている人もいます。産休・育休を語るとき、休みたいという声は拾われることが増えましたが、(すぐに仕事復帰できない状況があるから)産めないという声を聞いてくれる場所が少ない様に思います。

古市 最近は、シングルマザー・ファザーだと保育園に入りやすいという理由で、離婚するカップルもいますよね。それくらい保育園に入るのは厳しい状況にあります。

日本の抱える最たる課題は、少子化と労働力不足の二つです。この課題をダブルで解決している共働きのお父さんお母さんが、子供を預けられなくて大変だというのはおかしい。世の中の半分以上が共働き家庭なんだから、今までの価値パターンは通用しない。リセットしないといけないんだけど、自分の成功パターンを持っている世代を変えるのはとても難しいことです。

青野 今のマネージャー世代は、家庭を顧みずに仕事に励んだ結果、得たポジションだったりしますしね。「イクメン」は若い人たちの間ではだんだんと浸透してきましたが、次は「イクボス」の育成が必要になってきます。上に立つマネージャー(ボス)が子育てをしやすい環境を作り、彼らの考え方を変えていかないといけないでしょう。

産休・育休は「権利」であって「義務」ではありません。出産後、なるべく早く戻ってきたいという女性には、すぐに職場復帰できるような環境が必要です。「(青野氏と同じくらいの期間である)2週間や、週に1回くらいの育休で済むなら取りたい」という畑中氏の言葉には、共感する女性も多いのではないでしょうか。育休が取得できるようになった、仕事に復帰できる様になった。それで終わりではなく、安心して預けられる場所があり、短い育休後に仕事に復帰できる様になったら、子供を産みたいと思う人も増えるはず。

 少子化の問題を解決するためには、「価値観を変える」ことが大きなキーワードとなりそうです。

◎未婚化・少子化の問題は、古い価値観が邪魔して進まない。イデオロギーではなく価値観を持つべし!

 日本の人口が減り、急激な少子化が進むのは随分昔から分かっていたことですが、少子化問題の解決が進まない理由はどこにあるのでしょう。「こんなにも深刻な問題に対して、なぜ日本の政治家は騒がないのか」と海外の学者に言われたことがあるという古市氏が、小泉氏に問います。

小泉 価値観の問題があると考えています。少子化の問題を語るときには、「イデオロギーは要らないから危機感を持ってくれ」と言いたいですね。ワークライフバランスの話には、「家族のあり方」という、それぞれの人生観・価値観・歴史観などと切り離せず、論理的に割り切って考えることが難しい部分があります。(政治家の中にも)「日本にとって望ましい家族のありかた」を強固に持っている人たちがおり、その価値観を変えなければ何も出来ません。

ある問題に対して合理的な選択肢を淡々と取り続ければ解決できることもある。だったらそれをやればいいんです。価値観では無く危機感を持ってもらうためには、見たくない現実や漠然とした課題を、数値データで可視化することで議論していく必要があります。

◎「第三子支援」、未婚者にはリアリティ無さ過ぎ。まずは未婚・第一子支援をしっかり。

 いよいよ話は具体的な施策の話に移ります。

 ちなみに小泉氏、最近は政府の会議で「それでは少子化対策については、小泉進次郎くんに早く結婚してもらうということで」と締めくくられたこともあるとか。結婚をしていないと未婚化・少子化について語れないという風潮もありますが、「でも政治家はほとんど結婚していますけど、少子化対策の話が進んでいないから、あんまり(少子化問題を語る上で未婚・既婚は)関係ないんでしょうね」とバッサリ。仰る通りです。

小泉 少子化問題を解決する政策の中に「第三子支援」(2人の子どもを持つ家庭が3人目を産み育てやすいよう支援すること)が挙げられていますが、僕は「第一子支援」の方向に変えていきたいんですよ。とはいえ実は独身の僕には、第一子支援も遠過ぎます。まず結婚、次に1人目、2人目、やっと3人目ですから。

日本は結婚しなければ子供を産まない社会です。ですから、まずは結婚の支援と第一子の重点支援が必要でしょう。第一歩を後押しすることが必要だと考えています。

僕があり得るんじゃないかと思うのは、消費税を上げるとき、10%ではなく11%にし、その1%を目に見える形で使うこと。1%上げれば約2.5兆円の税収です。これは第一子の教育費・医療費を無料に出来るだけの税収になる。どこに使われているか明確だし、ただ10%に上げるよりも理解が得られるのではないかなと思います。

古市 いいかもしれませんね。日本は他国と比べ、消費税が高い国ではありませんが、消費税が高いと思っている人の割合は多い。その理由は、何に使われているか分かりづらいからです。

小泉 また、クールビズの様に、法律ではないかたちで政治がリーダーシップをとってアクションを起こし、世の中の認知や国民生活の常識を変えられる取り組みはないものかと考えています。何かいいアイディアないですか。

青野 ベビーカーを畳まないまま電車に乗ることについて、議論が盛り上がったことがありましたよね。あれは象徴的かもしれません。「畳め」という人には「やってみろ! 畳めるかい!」って言いたい。寝ている子を起こして抱っこして、暴れますよ。よっぽどベビーカーに寝かしつけておいたままの方が迷惑になりません。

ベビーカーを押している人は、日本の未来を育てている人です。その人に配慮できないなんてあり得ない。

古市 実は、既に国土交通省は「ベビーカーを畳まずに電車に乗ることを推奨します」と公式に発表しています。そういうことを広めたり、そういう空気を作ることを政治家にはやって貰いたいですね。

青野 社会を動かすときは、価値観を入れ替えることが重要です。子供を連れているお母さん・お父さんが苦労する世界に未来はありません。子供を育てる人に投資できる社会でないといけない。

ただそれは、独身者や子供を持たない夫婦を攻撃する事ではありません。色々な人たちがいていいわけですから。社会として「ここを守っていこう」という全体のビジョンと、多様性の両立が大切です。

小泉 子供が木に登ったりどろんこになって遊んだり、秘密基地を作ったり。日常に子供がいることが当たり前になれば、子供を産むことに対する不安も和らぐと思います。そういう支援をしていけたらいいですね。

クールビズの様に、政治主導でできるアクションはすぐには思いつきませんでしたが、これからも考えていきたいと思います。

 全体を通して3時間以上にも及んだシンポジウム。スペシャルトークセッションはその一部ではありますが、個性的な登壇者による新しい切り口で「未婚化・少子化」を考えることが出来ました。

 私を含め来場した参加者にとって、なかなか真剣に向き合う機会のないこの問題を、もう一度自分なりに考えてみようと思うきっかけになったのではないでしょうか。
(此方マハ)

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