笑えないコメディアン

「カリフォルニア州知事はファシスト!」子育て世代を紛糾させたジム・キャリーの“ワクチン”ツイート

2015/07/03 19:30

 予防接種を受けていない子の理由は、宗教上の理由というよりも、親が予防接種は体に悪影響だと考えているケースがほとんど。ジムのツイートにもあったように、はしか、おたふく風邪、風疹を予防する新三種混合(MMR)ワクチンは「自閉症の原因になる」という説があり、そのことを懸念し、ほかの予防接種は受けさせても、MMRは受けさせないという親は少なくない。今回、最初のはしかの流行が確認されたカリフォルニア州公衆衛生局は、「科学的な研究では、MMRと自閉症との間に何の関連性もないという結果が出ている」として、MMRの接種を受けるように呼びかけているが、法律で「個人的な信念」を理由に受けさせないことは認められてきたために、強要はできず。このままだと、今後も予防接種で防げる感染病のアウトブレイクが起こる可能性が高いのではと心配する声が上がっていた。

 予防接種と自閉症の因果関係だが、CDCは「ない」と断言しており、「アメリカで子どもたちに使用されているワクチンには、水銀もチメロサールも含まれていない」と主張。ぜひ、安心して受けてほしいと呼びかけている。しかし、CDCの元長官が世界最大級の製薬会社メルク社のワクチン事業部社長に天下ったりしていることから、CDCの意見を鵜呑みにするのは危険だと見ている者は少なくない。昨年も「エボラはCDCが製薬会社を儲けさせるためにバラまいた」という陰謀説が流れたほど。CDCは製薬会社から大金を受け取り、言いなりになっていると、疑惑の目で見られているのである。

 ジムがここまで予防接種に敏感になっているのには理由がある。彼は、セクシーモデルで女優のジェニー・マッカーシーと2005~10年まで事実婚関係にあり、彼女の1人息子を我が子のようにかわいがっていた。この息子は自閉症と診断されており、ジェニーは「予防接種の水銀により自閉症になった」と確信。ジムもそれに賛同し、以降、予防接種には水銀が含まれており、子どもたちを被毒させ自閉症にさせていると、ジェニーと共に活動をしてきたのだ。

 米のニュースバラエティー番組『Today』は、「連邦捜査局(FBI)も6歳以下の子どもが受ける予防接種には水銀は入っていないと明言している」と取り上げ、出演者も「でもジムのような考えを持つ人に、理解してもらうことは難しいでしょうねぇ」とコメント。

 ネット上では、「コメディアンとしてのジムは大好きだけど、こんな間違ったことを広められても……」「予防接種を受けさせたくなければ、そうすりゃいいよ。でも、きちんと受けた子たちとは接触させないでほしい」「被害妄想もいいとこ」とジムを批判する声や、「でも、予防接種により健康被害を受けた人に対して、慰謝料を支払う判決が出ているのよ。予防接種は危険なのよ!」とジムの主張をサポートする意見も上がっており、激しい論議を展開している。

 近年、女優エマ・ストーンに向けて「野外セックスしたい」というビデオファンレターを作ったり、アーティスト気取りの奇行が話題になったり、そうかと思えばうつ病をどうやって克服したかを真面目に語るなど、精神のアップダウンの激しさが目立っていたジム。昨年公開された『ジム・キャリーはMr.ダマー2』も興行成績はよかったが、映画評論家からは酷評されまくり。そんな彼だからこそ、「CDCもFBIも水銀は入ってないというのに、入っている! みんな騙されてる! 危険! 危険!」という主張に、ドン引きしてしまう人が少なくないのだろう。今後も、ジムはこの件について積極的に発言していくとみられており、彼ならではの迷言が飛び出すのではないかと注目が集まっている。

最終更新:2015/07/03 19:31
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