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山下智久版『アルジャーノンに花束を』、予想外の結末に野島伸司が託したもの

2015/06/21 19:00
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『アルジャーノンに花束を』(TBS系)公式サイトより

 山下智久主演のドラマ『アルジャーノンに花束を』(TBS系)が最終回を迎えた。本作は6歳児並の知性しか持たない知的障がい者の青年・白鳥咲人(山下)が脳手術を受けることで、天才的な知性を獲得していく姿を描いたドラマだ。

 原作は世界的に有名なダニエル・キイスのSF小説。知的障がい者のチャーリィ・ゴードンが、脳手術によって知性を獲得するものの、やがて手術の副作用で退行していく姿を一人称の変化によって表現した作品で、今でも多くの人々に愛されている古典的名作だ。そのため、何度も映像化されており、日本でも、岡田惠和脚本、ユースケ・サンタマリア主演で一度ドラマ化されている。

 今回、脚本を担当したのは池田奈津子、そして脚本監修は野島伸司。野島にとってTBSの金曜ドラマ枠といえば、『高校教師』『未成年』『聖者の行進』といった数々の問題作を発表してきた古巣とでも言うべき場所だ。そのためか『未成年』や『聖者の行進』で描いていた「社会に居場所のない無垢なる弱者たちの魂の彷徨」というテーマと再び向き合ったドラマとなっている。

 『未成年』等の作品で野島ドラマを手掛けてきた演出家・吉田健がTBSを定年退社することを記念して、野島が脚本監修を担当したという背景はもちろんのこと、いしだ壱成、河相我聞という『未成年』で少年役を演じた俳優たちが出演していることもあってか、原作モノの脚本監修でありながらも、野島にとっては原点回帰とでも言うような作品だった。

 物語の流れは原作小説と同じだが印象は大きく異なる。それは、ドラマ版が描いてるのは、咲人を中心とした群像劇だからだろう。そのため、「お利口になりたい」という悩みを抱えた咲人よりも、彼のように純真無垢には生きられないという悩みを抱えた柳川隆一(窪田正孝)や檜山康介(工藤阿須加)といった咲人と同じ花屋で働く友人たちの方が魅力的に見えてしまう。山下としては割りを食ったように見える。

 だが、窪田や工藤が魅力的に見えるのは、彼らの演技もさることながら、中心となってドラマを支えた山下の存在感があってのことだ。役者が知的障がい者の役を演じると、普段以上に演技のことが話題になる。そして大抵の場合、今期のドラマでいうと『Dr.倫太郎』(日本テレビ系)のような生々しい演技の方が高い評価をされがちだ。対して、咲人を演じた山下の演技は、あまり良い評価は得られなかったように思う。

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