婦人科医・松村圭子先生にインタビュー

ナプキン、タンポンに次ぐ第三の生理用品「月経カップ」、そのメリットとデメリットとは?

2015/06/14 21:00
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「月経カップ 米国製」

 最近にわかに注目を集める「月経カップ」という生理用品をご存じだろうか。主に欧米で製造・販売され、タンポンと同様に膣の中に挿入して経血をカップに溜めることができるシリコン製の生理用品だ。1個4,000円前後はするものの、一度買えば洗って繰り返し10年ほど使えるという。

 しかし月経カップは、厚生労働省が定めた「経血を吸収処理することを目的とする」「使用面は白」といった「生理処理用品製造販売承認基準」に当てはまらないため、現在日本では販売されていない。使用者は、ネットで海外製品を購入しているというが、果たして月経カップは新たな生理用品として普及するのだろうか? そこで今回、成城松村クリニック・松村圭子院長に、婦人科医の立場から見た月経カップのメリット・デメリットや、ナプキンやタンポンとの違いなどについてお話を伺った。

――まず先生から見た、月経カップのメリットを教えてください。

松村圭子院長(以下、松村) まずメリットとしては、繰り返し使えて経済的、エコである点が挙げられます。また基本的にうまくはまっていれば漏れを心配する必要がないとは言えます。カップの容量もあるのである程度は長時間もつから快適なのかもしれません。ただ日本のナプキンは吸収機能や漏れ防止など、世界的に見てもとても優れていて、外国人観光客が買い込んでいるほどですから、そうした悩みはナプキンで十分かと思いますね。むしろ月経カップは、衛生面のデメリットが目立つと思います。

――衛生面のデメリットとはなんでしょうか?

松村 まず衛生面としては、月経カップはナプキンやタンポンのように経血を「吸収する」のではなく「溜める」という考え方なのですが、「溜める」というのはそもそも雑菌の繁殖につながるのでよくありません。血液の主な成分はタンパク質ですから雑菌のエサです。またタンポンは、膣内に挿入する際、手を触れずに操作できますが、月経カップはシリコンを手で直接触って挿入しますから、その点でも衛生的にあまりおすすめはできません。それを言うと「セックスはどうなんだ」という話になりますが、膣への接触頻度は少ない方がいいに越したことはないと思います。

 あと単純に、カップを洗うって面倒くさいですよね。取り出す頻度は1日2~3回程度といわれていますけど、例えば量が多い日に出先で洗い流してまた挿入したいとき、個室トイレに洗面台がなければ、人前で経血の溜まったカップを洗わなければいけなくなる。手入れも丁寧に、かつ清潔にしなければいけないので、なによりも面倒くさいと個人的には思います。

――月経カップを使用する場合は、膣内もよく洗わなければいけないのでしょうか?

松村 膣内には自浄作用があり、雑菌から守ってくれる善玉菌がいますから、月経カップを使用していようがいまいが、石けんなどで中をごしごし洗ってはいけません。シャワーを当て、外側を洗い流すようにケアしてください。膣の中というのは皮膚よりも酸度が高いため、石けんでアルカリ性に傾くと雑菌やカンジタが繁殖しやすくなります。それに加えて、ナプキンやタンポンと違って、手で膣内を触る月経カップは、雑菌を入れるチャンスを増やしてしまうわけです。

『スク-ンカップ(月経カップ)エコパック 米国製 タンポンやナプキンに代わる生理用カップ メディテーション:サイズ1』
生理の煩わしさと女の戦いはまだ続きそう
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