[官能小説レビュー]

『秘密の告白~恋するオンナの物語~』に思った、人妻が不倫セックスに言い訳しないワケ

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『秘密の告白~恋するオンナの物語~』(文芸社)

■今回の官能小説
『秘密の告白~恋するオンナの物語~』(亀山早苗、文芸社)

 不倫をしていることが妻にばれたとき、まず言い訳から入る男は多い。愛人に対しては散々愛の言葉を吐きつづけてきたにもかかわらず、それまでの恋愛気分などは一蹴して保身に走る。それに比べて、不倫がバレた女はそう簡単には謝らないような気がする。たとえ世間を敵に回す行為だとしても、自分の行為に対して非常に強い意志を持っている――そんなことを、今回ご紹介する『秘密の告白~恋するオンナの物語~』(文芸社)を読んで感じた。

 同書は、3人の人妻の心を描いた物語。平凡な人妻たちが婚外恋愛に足を踏み入れ、溺れてゆく様子を描いている。

 夫の親友と関係を持ち、彼との激しいセックスに身を投じてゆく香代。娘の彼氏、そして担任教師と関係を持ち、SMの世界にのめり込む久美子。些細な好奇心から出張ホストとの逢瀬にはまってゆく弥生。彼女たちの心の中には小さな闇がある。夫が抱いてくれない、セックスに不満がある――家庭円満の要でもあろう夫婦生活に不満を抱いてしまうと、ほかで発散したくなるのは男も女も同じだ。

 特に弥生の話は実に興味深い。40歳を目前にしたパート勤務の弥生。夫と2人の子どもに恵まれているが、彼女も闇を抱えていた。それは、オーガズムを知らないこと。女として熟してもいい年齢のはずが、夫とのセックスは年に2回ほど。しかも酔っ払った勢いでのおざなりのセックスだ。

 性生活に寂しさを感じていた弥生は、パート先の同僚に教えてもらった出張ホストを頼む。ボウリングなどの健全なデートを経験し、3度目のホスト遊びの末、セックスでオーガズムに達することができる。

 快楽への扉を開けた弥生に、今まで封印していた性欲が洪水のように押し寄せてくる。セックスがしたい――決して安くない出張ホストを呼び出してはラブホテルへ行き、何度も絶頂を迎える。

 そんな弥生の前に、靴職人をしている男が現れる。ひょんなことから彼と知り合いになった弥生は、彼の工房で快楽に溺れる日々を過ごす。彼女がセックスに堕ちてゆく様子は娘の目から見ても明らかだった。「お母さん、恋してるの?」。娘にそう訊ねられても、弥生は否定もせずに首を縦に振る。

 このままでは壊れてしまう、頭の中には警笛が鳴り響いていても、弥生は快楽を求め続けてゆく。そして彼女は、思わぬ行動に出るのだが……。

 世間的に、弥生の行為はもちろん罪だ。しかし、夫の前ではセックスになど不満を持たない妻を演じ、子どもの前では性欲など皆無な母を演じる。安らぎの場であるはずの家庭が、仮面なしでは生きていけない場所になってしまったとしたら……そう考えると、筆者は彼女の行動を否定することはできない。

 女の性欲は、こういった精神的な息詰まりと表裏一体。だから男よりも性欲をこじらせてしまう。そして女の不倫とは、自分の中で失われていく“女”の部分を満たそうとする行為でもある。不倫がバレても堂々としている女は、不倫を自分自身がどうありたいかを探る行為だと覚悟を決めているからなのかもしれない。
(いしいのりえ)

謝るくらいならやらないよね~

しぃちゃん

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