[サイジョの本棚]

「女はかわいい方が得」という刷り込みの、“かわいい”の曖昧さを探る

――本屋にあまた並ぶ新刊の中から、サイゾーウーマン(サイ女)読者の本棚に入れたい書籍・コミックを紹介します!

■『美貌格差: 生まれつき不平等の経済学』(ダニエル・S. ハマーメッシュ著、望月衛訳、東洋経済新報社)

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 「もっとかわいかったら人生違うかなー」と考えたことのある女性は多いだろう。“容姿の美醜で人生はどのくらい変わるのか”という誰もが持つ疑問を、経済学から真面目に考察しているのが『美貌格差』だ。経済学者である著者は、さまざまな統計調査から「美形の方が生涯収入が高い」「容姿が重要な職業(モデルなど)以外でも、その収入差は現れる」「職業以外にも、結婚、就職、人間関係、融資などの面で美形の方が得」と、具体的な数字を出して考察する。

 単純に「美形うらやましい!」と思ってしまう結果ばかりだが、一方で、統計から見る限り、美貌格差は他の要素で挽回できないほど決定的なマイナスポイントでもない。「容姿は大事だ。でも、他の特徴はもっと大事なのである」という著者の考察は、多数の“非・美形層”へ向けたきれいごとではなく、多くの統計調査から導き出された結論だ。

 「美形は得だし、ブサイクはハンデになる」という現実は、多くの人が実感していることだが、誰にとっても他人ごとではない故に客観的には語られにくい。そして時に大げさに捉えすぎたり、逆に目をそらしているうちに、こじらせてしまいがちな問題でもある。そんな「自分と容姿の関係」をニュートラルに捉え直したい時、ヒントになる一冊だ。

■『女の友情と筋肉』(KANA、星海社)

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 『美貌格差』は女性に限った話ではない。同書によると、容姿による収入差は男性のほうが大きいというデータもあるという。しかし、データはどうあれ「女はかわいいほうが幸せ」という価値観は根強く、多くの人に刷り込まれている。そんな価値観を力ずくで外して、笑い飛ばしてくれるのが、Twitter上で連載されている(https://twitter.com/sunny3san3)のギャグ漫画『女の友情と筋肉』だ。

 ガチムチ体型で劇画調の外見、運動能力は人のレベルを超え、移動は自力飛行――という点を除けば普通のアラサー女子3人組の日常を描いた本作。高速腕立て伏せで彼氏にアピールしたり、仕事で失敗した同僚を筋トレで慰めたり、不条理なシチュエーションが読み手の笑いを誘い、ときに癒やしを与えてくれる。それは、本来「女性のかわいさ」として表現されがちな彼女たちの素直さや相手を思う気持ちが、一般的な「かわいさ」とはかけ離れた形で発露していて、かつそれを周りがごく自然に受け入れているからだろう。

 と同時に、この世界観に浸っているうちに、読者にとっての「かわいい」の定義も主人公たちの筋肉によってぐにゃぐにゃになり、ゴルゴ13に似た彼女たちが“かわいい女子”にブレて見えてくるおかしさをも味わえる。「女はかわいいほうが幸せ」という根強い刷り込みを、笑わせながらもさまざまな角度から揺さぶってくれる作品だ。

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