[官能小説レビュー]

上司の妻との濃厚なセックスシーンが描かれる『愛される資格』が“官能小説ではない”理由

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『愛される資格』(小学館)

■今回の官能小説
『愛される資格』(樋口毅宏、小学館)

 男はよく男同士の関係性を築くために女を利用することがある。ひと昔前だと「家庭を持つ」ということは、男にとって社会的地位を安定させるための重要な要素だった。また、任侠映画などでは、いい女を抱くことが男にとってのステイタスだったりする。

 男たちの身勝手に付き合わされる女たち。もちろんその男女間には、多少なりとも恋愛感情を育んではいるのだろうけれど、もしかすると、男たちにとっては目の前の女よりも、この女と関係している自分自身が、ほかの男たちにどう映っているのかが重要なのでは、と感じることもしばしばある。

 今回ご紹介する『愛される資格』も、そもそもは男同士の些細な憎しみ合いから生まれた物語だ。主人公の兼吾は、大手文具メーカーに勤めるバツイチのサラリーマン。入社10年目、33歳になる兼吾には、入社以来ずっと気にいらない上司がいた。それは、同じ経理部の部長・下永だ。

 22歳上、大学時代はラグビー部の主将、がさつで吝嗇家。体育会系の権力的な態度は、常に兼吾を苛つかせていた。ある日、1人休日出勤をしていた兼吾のもとに、下永が現れる。誘われるがままに二軒ほど店を渡り歩き、酩酊した下永を自宅に送り届けた兼吾。リビングの写真立ての中では下永を中心として夫人と娘が微笑み、彼もまた、普段社内では決して見せることのない柔らかい笑顔をしていた。リア充クソ野郎――兼吾は、ある計画を立てた。下永の妻・秀子を寝取ってやろう、と。

 突然の兼吾からの連絡を受け、最初は警戒をしていた秀子だが、2回、3回と会うたびに2人の距離は縮まってゆく。最初はカフェ、次は中華料理店からバーへハシゴし、大通りから隠れて唇を交わす。そして、次に会うときは、シティホテルへ。「あなたのことが好きです」と、ひと回り歳上の秀子を抱く兼吾は、下永への復讐心に陶酔していた。

 しかし、晴れて上司の妻を寝取った兼吾だが、体を重ね、互いをあだ名で呼び合ううちに、心の中に秀子への愛情が芽生え始めてしまう。そして2人の運命は、思わぬ方向に転がってゆく――。

 この本の帯には大きく「これは官能小説ではない…純愛小説である。」というキャッチコピーが書かれている。兼吾と秀子のセックスシーンは非常に濃厚に描かれているが、官能的に感じないところが不思議である。それは多分、兼吾自身が秀子を抱いているとき、どこか俯瞰で自分を見ているからではないだろうか。下永と真正面から向き合うことができなかった兼吾は、秀子を介することで下永と対峙したかった……だからこの作品は「官能小説ではない」のである。

 しかし、男同士の物語に付き合わされた女だって、黙ってはいられない。ラストは予想を裏切る、女性上位の展開が待ち受けている。一見、一回り年下の夫の部下に転がされ、セックスに溺れてしまったダサいオバハンの秀子。けれど転がされていたのは兼吾だったと筆者は感じる。ここにキャッチコピーの「純愛小説である」という言葉が浮かび上がってくる。兼吾にとっては悲しさや葛藤を含んだ純愛、けれど見ようによっては痛快な本作を、ぜひ多くの女性に体験していただきたい。
(いしいのりえ)

自分探しにも女を使わないで~

しぃちゃん

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