仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

野心丸出しの上重聡アナが可愛く見えてしまう、安住紳一郎アナという“ズルい男”

2015/04/09 21:00

 上重アナの取った行動は明らかな規則違反であり、もちろん褒められたことではないが、私はある種の“好感”も持っている。なぜなら、もっと入り組んで面倒な自意識の男性アナに遭遇してしまったから。それはTBSの安住紳一郎アナである。

 ラジオ番組『安住紳一郎の日曜天国』(TBSラジオ)によると、安住アナは500円玉貯金をしており、8年かけて230万円貯めたそうだ。その500円玉を銀行に入金する際、窓口に頼まずにATMを使ったのだが、一度に入金していい硬貨は200枚までだったため、時間がものすごくかかって注目を浴びた上に、ATMを止めてしまったという。

 そこで安住アナはATMを待つ人の最後尾に並び、違うATMを使って入金を試みるが、そのATMもキャパシティーオーバーで止まってしまう。安住アナは、自分で「窓口に行けばいいのに」と言いながらも、「人に隠れて最後までやりたい」と述べた。

 「人に隠れて最後までやりたい」という言葉は、「目立ちたくない」という言葉と同義であり、その根っこにあるのは、「自分は見られている」「目立っている」という自意識である。普通のサラリーマンが500円玉貯金をしても、ちっとも面白くない。1億7,000万円のマンションを事実上もらった同業者もいる、“特別な職業”の“俺”が、500円玉貯金をすることに意味があるわけだ。

 こう考えると、安住アナが窓口に行かずに、ATMをはしごするのも筋が通る。有名人なのに、一般人と同じように何度も並ぶという「庶民プレイ」をしてみたかったということだろう。230万円を「車が買えるくらいの金額です」と言っていたが、これが上重アナの乗っていた車のほぼ1/10の金額であったというのも意味深である。自分は上重アナと違って、常識も良識もあると言いたいのだろうが、ATMを長時間占拠して、2台も止めている時点で、十分非常識である。

 ラジオには銀行関係者から、「大量のコインの投入は、ATMが止まるので、窓口に頼んでほしい」という声が寄せられ、安住アナは素直に謝罪していた。自分のドジぶりを積極的に披露する“てへぺろ”もまた、自分に価値があると信じる人間にしか、できない芸当である。

 芸能人と仲が良いと自慢することは、自分を“一般人”と認識しているということだが、自分が庶民であるとアピールするのは、自分が庶民ではないという自意識があるから。上重アナは、安住アナから本当の“ズルさ”を学んだ方がいいと思う。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2015/04/09 21:00
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