[女性誌速攻レビュー]「CLASSY.」5月号

今なお“マネジャー女”に勝機を見出す、「CLASSY.」の一向にこなれぬモテ言説

2015/04/06 21:00

 そんな読者を「(コンバース以外のスニーカーも)絶対似合うからはいてみー」と勇気づけながら、少しずつ少しずつ別のスニーカーにも目を向けさせようとする「CLASSY.」。そして「ほんまや! 意外としっくりくる!」と自らを鼓舞するように言い聞かせる関西キレイめ派の重鎮。私、コンバースなしでも生きていけるかも……。その自信こそ、依存症克服への第一歩。「白コンバース以外のスニーカーがどうしても運動靴に見えてしまって」いた重度依存症の読者が、ナイキやアディダスに初めて足を踏み入れた日。もうこれはスニーカー記念日と名付けていいのではないでしょうか。

 スニーカー店で手を取り合う三科さんと「CLASSY.」スタッフの姿はさながら日曜深夜のドキュメンタリー番組のよう。ありがとう白コンバース、そしてさようなら。好きだけど、別れる、それがお互いのためだから。「CLASSY.」読者の新たなスニーカーブルースに幸あれ……ってなんのこっちゃ!

■「控えめさがありながら、実はリードしてあげられる」ってどこぞの正捕手?

 今号の着回し企画「定番スニーカーで楽ちんキレイな4月の着回しDiary」も、いつにも増してぶっとんでいるのですが、毎号毎号着回しばかり紹介するのもアレですので今回はスルー。ざっと説明しますと、“腰を痛めたCAが1カ月の休暇中に彼氏(パイロット)に浮気されるも、ぶっきらぼうなイケメン接骨院先生に励まされながら4日で腰痛克服”という内容。見どころは制服でデートにやってくるパイロットと、たった4日のリハビリで全治1カ月の腰痛を直すミラクル柔道整復師です。お見逃しなく!

 さて、続いてレビューしたいのは「周囲からの評判もバツグン! イケメン体育会サラリーマン」です。「大学時代の四年間を部活に捧げてきた体育会男子は、じつは理想の旦那さんの条件を兼ね備えていました!」「カッコよくて、スポーツマンで、仕事もデキて、頭もよくて、鍛え上げた体だからスーツも似合う…魅力いっぱいで言うことなし!」と体育会系男子ほめ殺しです。しかし今なぜ体育会系? 確かに「CLASSY.」女子が石にかじりついてでも結婚したい“エエ男”、すなわち大企業勤務、強いていうなら広告代理店、そこそこの稼ぎとそこそこの人脈とそこそこの見た目を持った男性の最大公約数を考えると、「体育会系」が最もしっくりくるんですけども。

 このページで気になるのは「旦那さんが体育会出身の夫婦に聞く【家庭面で】彼が体育会でよかったこと」です。「旦那さん」という単語に引っかかっていると先に進みませんので、登場する2組の夫婦のインタビューを見てみましょう。「体育会出身だと上下関係に厳しいとか、亭主関白だとかイメージされがちですが、最近の体育会はそれほどでもないと思います。(中略)子供のころからチームスポーツをやっていましたし、個人単位というよりも家族みんなで楽しく元気に過ごす、というのは心掛けています」と体育会系夫。妻側も「寮生活の経験があるので自活能力が高くて何でもできる、頼れる存在」と太鼓判を押します。ハイ、もう言うことなし。

 しかし本題はここから。体育会系夫が望む“妻の在り様”と体育会系夫を支える“妻の矜持”。「体育会出身者には、仕事やプライベートに全力で取り組める環境を整えてくれる、マネージメント能力の高い女性が向いているのかな、と感じますね」(夫)、「彼が一人でいたいときは空気を読んでそっとしておいてあげたり、三歩下がってついていく控えめさがありながら、実はリードしてあげられる姉さん女房的なサポートを続けることが大切かなと思います」(妻)。これは……「CLASSY.」が長らく提唱してきた、ケガしたら絆創膏、汗かいたらタオルでおなじみ“マネジャー女最強説”ではないですか!

 結局“体育会系夫を支えるマネジャー妻”という、なんのひねりもない結論に着地したこの企画。というか、これが真実。いや、真理なのか。いくら新しいスニーカーを履いても、マネジャー気質を持ち合わせていなければ、婚活という閉塞感から飛び出すことは難しそうです。
(西澤千央)

最終更新:2015/04/06 21:00
CLASSY.(クラッシィ) 2015年 05 月号 [雑誌]
体育会系夫の日々の酒代、ハンパなさそうだけど大丈夫?
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