『男をこじらせる前に』湯山玲子×『ルポ 中年童貞』中村淳彦 対談【前編】

『男をこじらせる前に』湯山玲子×『ルポ 中年童貞』中村淳彦が語る“男の病理”

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左から『ルポ 中年童貞』中村淳彦氏、『男をこじらせる前に 男がリアルにツラい時代の処方箋』湯山玲子氏

 「女らしさ」の呪縛が語られ解体が進み続ける中、不動の地位にあり続けた「男らしさ」という道標。しかしここに来て、その道標に警鐘を鳴らす2冊の本が刊行され、話題を呼んでいる。男の男ゆえの病理を古今東西の事例からこれでもかと説いていく湯山玲子氏『男をこじらせる前に 男がリアルにツラい時代の処方箋』(KADOKAWA)、30歳を越えても女性とセックス経験のない中年の姿から現代社会の歪みに迫った中村淳彦氏『ルポ 中年童貞』(幻冬舎新書)だ。湯山氏、中村氏の対談から、男の中に巣食う病とその背景を探っていく。

■世間を“羊水”と思えるか? 男と女を隔てる「万能感」

――「男」の問題を提起した2冊ですが、男性からどういった反響がありますか?

中村淳彦氏(以下、中村)私の本は「幻冬舎plus」に連載を始めた時から、2ちゃんねるにスレッドが立って、Twitterでは過激な書き込みを大量にされましたね。言葉の端々をピックアップして、僕の人格を批判するような論調が多かったです。

湯山玲子氏(以下、湯山) 刺激しちゃったんでしょうね。私の本の男性読者で多いのは、「いるよねー、こういうこじらせ男(笑)」という反応(笑)。自分はこじらせていない、という反応です。本書では、現代日本の病理の1つの元凶にもなっている、男性と母親との問題についても書いているんですが、「オレはマザコンじゃないし」とスルーしようとする。男の人は自分を変化させることに対しての恐怖が強いですよね。

中村 自分のことはおいておいても、客観的な意見をいうのは、やはり読者の水準が高いからでしょう。過剰な批判みたいな態度は、女性は取らないものなんですか?

湯山 女性は「自分を変えたい」と思う。女性誌なんかはそういう特集でばっかり。女性は自虐と反省ですから。あと『ルポ 中年童貞』を読んですごいなと思ったのは、中年童貞がやたら暴れるところですね。この逆版(中年処女)がいたとしても、中村さんの本にあるような職場での目立った問題行動は起こさず、表面は溶け込んで、気配を消しているのではないか。陰でいろいろ行うのかも知れませんが、本に書かれた中年童貞のような人間関係のぶち壊しぶりはしなそう。私は彼らの母親の問題をどうしても考えてしまう。私の本でも取り上げたのですが、母親が息子に「ヤルときはできる子なんだから」と愛し、褒めて支えてきたがゆえに、彼らは万能感を持ってしまっている。中年童貞は愛されることに慣れている。つまり、お母さんの“羊水”の中にずっといて、自分のことを愛さない世間、というものが解らない。仮想羊水を職場でもどこでも持ち込み、それで通ると思っている。

中村 その深刻さに気づいたのは介護に関わってからです。出版業界には、そこまで深刻な人はいなかった。介護の現場で一緒に働いた中年童貞を見ると、彼らは助けてもらっても、自分が劣っているという概念がないんです。そういう人が1人いるだけで、職場全体に負の連鎖が起きる。

湯山 女の人の社会には羊水がないんです。ダメだダメだって言われて、すみません、って育ってきた。羊水のあるなしは大違いですよ。

アノ男のカバンにこっそり入れておかなきゃ~

しぃちゃん

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