[マンガレビュー]

倒れた親は施設か家か、延命はどうする? 問いの中で“親の介護”を描くマンガ3冊

 親の介護はまだまだと思っていても、その日は前触れもなくやってくる。マンガの世界でも介護をテーマにした作品が昨今は豊作だ。作者自身のエピソードを綴った話題の3作を紹介する。

☆半身まひの父と倒れた母、子どもはどうする?

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『親が倒れた!』(新潮社)

 介護はまだ先だと思っていても、親を突然襲うのが脳血管障害だ。そして家族の心の準備も、受け入れ態勢も整わないまま、親はあっという間に退院させられる。タイトルもそのものズバリ、『親が倒れた!』(新潮社)は、好評だった『親を、どうする?』『親を、どうする? 介護の心編』(ともに実業之日本社)に続く介護シリーズ第三弾。脳こうそくで突然倒れた父親をめぐる、母、長女、長男、次女それぞれの思いが描かれる。
 
 父親は、リハビリ病院に転院したにもかかわらず、半身まひが残ったまま退院。なし崩し的に、71歳の母コズエが介護することになる。老老介護の始まりだ。生活の全てに介助が必要な父は認知症も発症し、コズエは心身ともに疲労がたまっていく。

 子どもたちにも、それぞれ事情がある。長女アオイは専業主婦だが、子育てで忙しい。長男ケイに子どもはいないが、妻は親の介護中。次女サキはアラフォーシングルの派遣社員。年下の彼には二股をかけられていて、先が見えない。母に父の介護を任せている間は取れていた家族の均衡は、コズエが倒れるとたちまち崩れていく。母の延命はどうする?  父の介護はどうする? 深刻な問いに直面する子どもたち。一時は、サキが仕事を辞めて介護すると宣言するところまでいくが……。誰か1人に介護を押し付けると、将来きょうだい間で禍根を残すことになる。それが、親が亡くなった後も相続をめぐる家族争議の原因になっているのだが、3人はどんな選択をするのか?

☆かあちゃんへの「負い目」で在宅介護を選ぶ

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 一方、『かあちゃんといっしょ』(講談社)では、息子が母親を在宅介護する様子が描かれる。ダンゴ屋を営むちょっとコワモテのテツオは、体の自由の利かないかあちゃんを、単身実家に移り住んで介護している。実家には、アラフィフの長男・シゲオも同居しているが、若い頃から引きこもりぎみ。ブルーカラーの仕事には就いているものの、自分のことで精いっぱいだから、かあちゃんの介護にはノータッチだ。身勝手な長男だが、かあちゃんにとってはいつまでも子ども。不出来なほど、いとおしいのだ。

 妻と小学生の1人息子とは別居を強いられている。介護で家庭を顧みないテツオに、妻の不満はたまっている。妻に「施設に入れれば」と冷たく突き放されつつも、テツオがなぜここまでやるのか? テツオには、かあちゃんに対して、ある負い目があったのだ。

 かあちゃんは早くに夫を亡くし、苦労して3人の息子を育ててきた。そんなかあちゃんは、50過ぎてようやく手に入れた自宅には特別な思い入れがある。それだけに、施設に入れることへのためらいは大きい。それでも、仕事をしながらの介護は大変だ。かあちゃんに苛立つこともある。テツオの妻が言うように、子どもにも寂しい思いをさせて、いつまでもこんな状態でいいわけがない。妻にも子どもにも負い目を抱えたテツオは、かあちゃんを施設に入れた方がいいのか、苦悩するのだ。

考えないようにしてるなら、とことん向き合っちゃえばいいのよ

しぃちゃん

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