仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

椿鬼奴と森三中・黒沢かずこに見る、女友達の恋愛を心配するときの大切なルール

2015/03/05 21:00
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『クロサワ映画』/よしもとアール・アンド・シー

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の芸能人>
「黒沢さんが心配です」椿鬼奴
『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系、2月26日放送)

 自分のことを心配してくれる人がいる、というのはうれしいことだが、人間関係を円滑にする「心配」には「ルール」がいる。2月26日放送の『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の「石橋温泉」を見て、そんなことを考えた。

 石橋貴明が温泉に入りながら、女芸人の悩み相談にのる「石橋温泉」。オアシズ・大久保佳代子、椿鬼奴、森三中・黒沢かずこ、フォーリンラブ・バービー、ミラクルひかるという売れっ子5人が、石橋に相談を持ちかける。昨年末、8歳年下の後輩芸人・グランジの佐藤大との熱愛が発覚し、現在同棲中の鬼奴は、結婚を望みながらも、佐藤の経済力のなさに不安を感じている。収入が少ないだけでなく、借金がありギャンブル好き。「売れて、収入が増えてほしい」と鬼奴は石橋に訴えるが、友人の黒沢は結婚そのものを思い留まってほしいようだ。鬼奴を「心配」する黒沢は泣きながら、「本当に鬼奴と結婚するつもりがあるなら、この世界を辞めて普通の仕事をすればいい」「彼氏は雇われのバーテンくらい、いつでもできると言うけれど、商売なめんなよと思うんです。生活費を稼げるようになってから言え」と、佐藤の「甲斐性のなさ」を批判する。黒沢は、佐藤が今後ブレークするとは考えていないようである。

 一方の鬼奴は、冒頭の発言通り、黒沢が恋愛をしようとしないことが心配で、「私たちがいいんじゃない? という人とでも、絶対に食事に行かない」と黒沢の頑固さを嘆く。男性経験のない黒沢の「初めての男」の斡旋を石橋に頼むが、石橋のオススメの男を、黒沢は「最初がちんちくりんの男なんて、自分の人生は何だったのかと思いますよ」と切り捨て、依然としてその気がないことを明かした。

 相手に幸せになってほしい。鬼奴と黒沢の「心配」は、相手を思えばこそだが、上述した通り、「心配」が2人の仲を深めるためには「ルール」がある。それは2人の環境が「一緒」なことだ。

 鬼奴と黒沢は、芸能界という同じ世界の同期で、同じ事務所である。給料の金額は違うかもしれないが、給与体系は同じはずだ。つまり、これまではほぼ全ての環境が一緒だった2人だが、鬼奴がもし佐藤と結婚したら、鬼奴は既婚、黒沢は独身となり、「一緒」ではなくなるのだ。

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