蒼井凜花インタビュー

CA、モデル、クラブママ――女社会のドロドロを見続けた官能作家が語る“女同士”の性

2015/03/04 16:00
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――蒼井さんご自身の目で見た女の序列争いから、女の一面を切り取って作品にしているんですね。

蒼井 ただ、『夜間飛行』や『美人モデルはスッチー』などのように男性をターゲットにした官能小説だと、あまり女同士のドロドロを描いてしまうと、読者に引かれてしまうんです。例えばこの作品にはレズビアンシーンがあるんですが、それもあくまで男性がトップ。“男の人のため”に女2人がちょっと抵抗しながらもプレイをするという内容になっています。女同士の話でも、常に男性目線を意識して書いています。

 結局、女の序列争いもそこに男目線があるから生じるもので、「女は男の手のひらで遊ばれているだけ」と捉えられてしまうかもしれませんが、私は「男の人の手のひらの上で、上手に転がされてあげたいな」と思いますね。夜の仕事を経験していた頃、常に男の人が優越感に浸れる環境を作っていたために、男性に対して感情移入をしてきたんです。そうなると、自分自身も俯瞰しないといけない。

――それが、官能小説を書く上で生きているのかもしれませんね。ところで、蒼井さんご自身が、男をめぐる女同士の争いに巻き込まれたということはあるのでしょうか?

蒼井 そうですね……同期のCAが黒人男性と付き合っていたのですが、「もう別れた」と聞いて。そんなとき、その彼に口説かれて、イケナイ関係になってしまいました。ちょっとした好奇心もあって。といってもフェラチオまでですよ(笑)。でもその後、実は別れていないことがわかり、夜中にもかかわらずタクシーを飛ばして、彼女の自宅に謝りに行ったことがありました。懐かしいですね。私は平和主義者ですから、キャットファイトなどに巻き込まれたことはありませんが、作家としては一度くらいは巻き込まれるのも面白いかも(笑)。

――いわゆる“ダメ男”には弱いタイプですか?

蒼井 いえ、借金があったり、暴力を振るうタイプの男性とはお付き合いしたことはありません。浮気については、ただの排泄行為だと思っているので(笑)、自分が「最後に選ばれる女」になればいいかなと思っています。男性とのお付き合いで一番悲しいのは、喧嘩して別れること。高校時代に付き合っていた彼とは、今でもお友達として仲良くさせていただいています。男と女じゃなくても、人間として親しくなるのが一番理想。無駄な喧嘩はしません。負の感情は人を醜くしますから。むしろ揉め事は、女性とお付き合いしているときの方が多かったかも。

――蒼井さんは、バイセクシャルなんですね。

蒼井 CA時代に、ちょっと素敵な先輩がいたんです。芸能人に例えると若村麻由美さんのような和風美女で、仕事もできる人でした。先輩と同室に泊まることになったとき、「AV見ない?」と誘われ……ペニスに甘えない舌の技が素晴らしかったです(笑)。ちなみに私は“ネコ”です。

――“生まれながら”や“過去の男性経験のトラウマ”からではなく、その場のノリで足を踏み入れたという感じでしょうか?

蒼井 遠距離恋愛の彼氏と疎遠になっていたこともありますが、とにかく性に対して好奇心旺盛だったんです。昔からそうで、オナニーも小学2年生の頃からしていたほど(笑)。レズビアンこそ絶対数が少ない分、「取った取られた」で修羅場化することが多くて、私も「いま車に乗ってる、別れるならこのままぶつけて死ぬから!」と電話がかかってきたなんて経験もあります(笑)。

――女性と付き合うことは、男性と付き合うことと、なにか違いはありましたか?

蒼井 ケンカのとき、男性に対してなら自分が引くことができるのに、女性にはできなかったです。女性は数カ月前のことまで引っ張り出して怒ってくるので、こちらも言いたい放題になってしまうんです。「凜花は私にだけ笑顔を向ければいいのよ」と普段男らしく振る舞っているタチの恋人も、ケンカになると途端に女になってしまう。特に生理前は、気性が激しくなるので注意が必要ですね。そういえば、人生で初めてグーパンチされたのも、背負い投げされたのも女性でした(笑)。

 あと、なにが一番大きな違いだったかといわれれば、女性は生理があるので、セックスが大変(笑)。それぞれの生理期間の都合で、半月間セックスができないなんて事態もあり得ます。けれど、男性相手でも女性相手でも、付き合う“スタンス”は特に変わりません。

『夜間飛行(二見文庫)』
アノ宇野千代を彷彿とさせる「死ななさそう」な作家さんでした!!
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