[女性誌速攻レビュー]「CLASSY.」3月号

暴言・妄言・上から目線! 「CLASSY.」がモテ言説に“男の本音”を悪用しすぎてる問題

2015/02/06 19:00

 さらに「カッコいい」の正義を証明するために「CLASSY.」が持ち出したのは、読者の弁慶の泣きどころ、“モテ”です。「『カッコいい』こそモテる時代がやってきた!」では読者の考えるベストモテ服(ちょい甘ゆるふわ系)を会社経営、公認会計士、マスコミ勤務、会社役員、経営コンサルタントなど、肩書で威嚇する男性陣たちが斬りまくります。しかしそのコメントが「バレエシューズとか履く人って面倒くさそう」「レースの洋服を着るコって褒めなきゃ怒りそう」など、根拠レスのふわふわもいいところ。結局「カッコいい女」とは、こういう男性の妄想に呆れず付き合ってくれる懐深い女性なのだと思い知った次第です。

■男の本音、女の自虐の怪しさ

 男の妄想ページでは「男のコが萌える“大人のメガネ”研究」なんてのもございます。「男のコが思わずグッとくるメガネはどんなメガネ?」座談会では、「チェックのストール巻いてるコがこのメガネかけてカフェラテ飲んでたらヤバい!」「自分に似合うメガネをファッションに合わせてちゃんと選べるコって尊敬するし、中身を感じる」などなど、まったく中身を感じない妄想と上から提言が満載です。というか、「CLASSY.」は座談会男子を悪用しすぎ!!

 さて、前回「オンナの曲がり角『35歳』を乗り越える」という連載で、“オーバーCLASSY.”(=想定読者より年上の読者層)の存在を明らかにした同誌。こちら今号のテーマはメイクです。のんきな男性座談会と比べものにならない、滋味あふれる座談会となっています。「最近、私はアイラインが上手く引けなくなってきました(笑)。なにかのCMみたいだけど」と、のっけからドモホルンリンクル攻撃。「白髪だってちょろちょろ生えてきたよ~(泣)」「疲れた主婦みたいに見えがちですよね、35歳くらいの人がナチュラルメークを本気でやると(笑)」など、(笑)が全然笑えない、これまた前号に引き続き一本筋の通った内容となっております。

 今月は、さらに30代向けページがあります。「切実です! 30代の出会いと別れ」は、「いい出会いがない!」「恋愛するのが面倒くさい!(でも結婚したい)」「前の失恋から立ち直れない!」「今付き合っている彼と別れたくない!」などのお悩みに恋愛のスペシャリストたちが答えるというもの。もちろんみんな大好き、ぐっどうぃる博士も参戦ですよ!

 30代女性の恋愛の悩みといえば、これから先の人生への漠然とした不安、出産可能年数が徐々に狭まっていく焦り、周囲からの「結婚は?」という圧力による疲弊……言葉で簡単にどうにかなるような生易しいものではありません。ほかのスペシャリストたちが「結婚をしなければならないと思い込んでいる女性に多いのですが、『今は結婚したくない』という自分の感情を認めてあげましょう」「30代になると仕事での責任も大きくなっていたり、プライドも邪魔をするので、恋愛に集中できた20代の失恋とはショックの質が変わってくるんですよね」など、肌触りのいい言葉で距離を縮めようとする中、さすがは博士、そういう気遣い一切ナシ。「多くの男性に好かれたいなら、まずは一般の人が好みそうな見た目にすることが重要」「未婚女子同士の女子会でシングル生活に不安や焦りを感じないまま過ごしてしまうと、自分を高く売れる市場価値のある時期を逃してしまいます」など、すがすがしいまでのぐっどうぃる説法。“彼に結婚してもらうために”目線にブレはナシ。

 黒幕「CLASSY.」による、男性座談会およびぐっどうぃる博士を媒体にしたイタコ芸、いかがでした? お悩み企画の後には「瞑想っていいことずくめ!」というページがあり、こういうオチを用意しておくのも、さすが「CLASSY.」なのでした。
(西澤千央)

最終更新:2015/02/06 19:00
CLASSY. (クラッシィ) 2015年 03月号 [雑誌]
「CLASSY.」と「ジョージア」のCMは、男性への悪質な偏見を植え付けるからな~
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