介護をめぐる家族・人間模様【第45話】

「夫にも義父母にも上から目線」ご近所トラブルの火種をまく母に、娘は……

2014/12/21 15:00
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Photo by KENTAMA from Flickr

 ペット型ロボット「アイボ」に寿命があるらしい。壊れても、もう修理してくれないんだそうだ。10数年ともに暮らし、もはや家族の一員。心の支えにしている人だっているだろうし、そうなることを想定して作っていたんじゃないの? 日本が世界に誇った「ものづくり」ってそんなものだったのか。なんだか悲しい。

<登場人物プロフィール>
松本奈美子(38)北海道在住の兼業主婦。夫と二人暮らし
大江啓子(68)松本さんの実母。夫を亡くして一人暮らし

■娘をライバル視する母
 松本さんは、毎週末母親が1人で暮らす実家に顔を出している。実家までは車で30分程度とはいえ、毎週行くのはそう楽なことではない。

「子どもがいないのでできるんですよ。妹は子育てが忙しいし、母とはあまり気が合わないので、私が行くことになってしまって」

 そう明るく話す松本さんだが、毎週実家に帰るのには理由がある。

「母は昔からわがままな人だったんです。裕福な商家の一人娘で、結婚してからも父が優しかったこともあり、自由気ままに暮らしていました。母中心に回っているような家庭でしたね。私たちが結婚して家を出てからも、父が生きている間は常識人の父がうまいこと手綱を引いていたんですが、父が亡くなるとだんだん母のわがままがひどくなって、私たちが振り回されることが増えてきたんです」

 妹は、そんな母から極力距離を置こうとしたという。父親っ子だった松本さんは、父親の代わりに母を守りつつ、うまくやっていこうと努力を重ねた。

「母は、いつも自分が中心になっていないと気が済まないんです。父にかわいがられた私をライバル視することもあります。私、最近この年になって初めてピアスをつけたんですが、次に母に会うと、もうピアスをつけている(笑)。私のものよりも派手でしたが。さすがにつけまつげをしたときは、お化けみたいだからやめるように言いました。妹はそんな母を嫌がっているんですが、私は呆れながらも、どこかかわいいと思う気持ちもある。長女だからですかね。もう私の方が母親みたいな関係なのかもしれません。私と張り合うことで母が若さを保っているのなら、それはそれでいいことかなと思っていたんです」

『女友だち』
君臨するしか関係を結べない哀しさ
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