大泉洋似の男にヤり捨てられて……アラフォー婚活漫画に見る「DRESS」の自尊心

　初日に大泉洋似の家に行ったのも、「私は肉食だから」というような記述があるんですが、その後の落ち込みようを見ると、どこが肉食なんだと言いたくなります。つまりこのマンガ、「ちょっと自尊心の高いアラフォーが、相手を見くびっていたら数回やっただけで捨てられてショックを受けました」という話なんです。

　2ちゃんねるなどで、「婚活サイトで数百人食った」と自慢している男性もいます。この大泉洋似も、おそらく「年増の女はコロッと引っかかって簡単に食える」とか思っているのではないでしょうか。そうした評価は、「独身アラフォー女性」という同族の女性たちにも降りかかってくるのです。心底勘弁して欲しいです。

　「人として最低。見損ないました」などというLINEも、残念な感じでいっぱいで、そんな批判、大泉洋似にはかけらも響かないでしょう。読んですらいないようです。もっとアラフォーならではのスマートな仕返しをして、スカッとさせてほしかったです。

　婚活サイトで男性からお金を引っ張った挙げ句に何人も殺した容疑で逮捕された事件もありました。今回は、お金をだまし取られたわけでもなく（無駄な10万の出費はあったにしろ）、無事だったというだけでもラッキーでしょう。

　マンガのあとに、「男性に音信不通にされた女たち」の体験談が載っていたり、漫画家が反省点を述べたりしているので、このエッセイ漫画のストーリー自体、読者からの意見をもとに、読者代表として作り出した話かもしれません。もしそうなら、「DRESS」読者の判断力や常識を疑うレベルですし、編集部が読者をそう思っているなら、それはそれで見くびられているような。「婚活実況漫画がはやっているから、うちでもやるか」ということなら、時代も方向性も、ズレまくってやしませんか。

　というわけで、アートを気取って教養溢れる「DRESS」な女を目指しつつ、一方で浅はかなくせに自尊心の高い婚活アラフォーが登場……両極なのか、教養はあるけど浅はかなのか、よくわからない女性像を突きつけられた今月の「DRESS」でした。
（増井涼子）

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