イケメンドラマ特捜部【ジャニーズ&イケメン俳優】

『HERO』――正しい男“キムタク”の役割を再選択した、俳優・木村拓哉の強さ

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『HERO』(フジテレビ系)公式サイトより

 SMAP・木村拓哉主演の『HERO』(フジテレビ系)が最終回を迎えた。本作は、2001年に放送された『HERO』の続編となる作品だ。

 木村が演じる久利生公平は、スーツではなくラフな服装で仕事をするナチュラル系の型破り検事。すぐに書類送検できる事件も、気になることがあれば普通の検事はやらない現地調査に赴き、起訴するかどうかを判断するという強い職業意識を持っており、そんな久利生が事件の中にある小さな違和感を解きほぐしていくことで、意外な真相が明らかになっていくことが物語の見どころとなっている。

 初回平均視聴率は26.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。その後も20%前後で推移し、最終話は22.9%となった。死屍累々のテレビドラマの中、朝ドラ以外でこれだけの高視聴率を獲得できるのは、さすがキムタクと言うべきだろう。福田靖の脚本は物語の完成度が高く、群像劇としての側面が強い。脇役のエピソードをうまく配置することで、木村だけが悪目立ちしないのが、ほかのキムタクドラマと『HERO』の違いではないかと思う。

■新しい“キムタク”を見せない

 10年の『月の恋人~Moon Lovers~』(同)以降、木村のドラマは平均視聴率20%を割るようになってきた。内容面でも、南極大陸に行ったり、ホームレスになったり、アンドロイドになったりと新機軸を打ち出そうとする一方で、肝心の木村が持つ絶対的なヒーロー性を崩すことができないために、どっちつかずの消化不良の作品が多かった。対して、『HERO』は、新しいことはほとんどやっていない。

久利生は年を取り、元ヤンの事務官・麻木千佳(北川景子)や、エリート検事の宇野大介(濱田岳)といった若い世代は登場するものの、東京地検城西支部の庁舎の中を、シンメトリーを強調したレイアウトで見せる画面は相変わらずで、見ている時の印象は01年版とほとんど変わらない。

 しかし、外見こそ変わらないが、扱う事件の題材は変化している。今回のキャッチコピーは「時代は変わった。この男はどうだ」となっており、14年の世相を反映させたようなエピソードが多かった。中でも第4話は、麻木と同じ地元のマイルドヤンキーが仲間の犯罪を隠蔽しようとする話で、事件を捜査する麻木が、昔の仲間に襲われるという苦い展開を見せ、本作が繰り返し描く“組織対個人”というテーマが最も色濃く出た話となっていた。

 自分たちの正義のために個人を犠牲にする組織(ヤクザも警察もマイルドヤンキーも、同じ病理を持った存在として本作では描かれている)の暴走に対し、職業倫理を持った個人が歯止めをかけられるのか? 20年の東京オリンピックに向けて、次々といろいろな法案が決まっていく狂騒の時代においては、久利生の、あるいは木村の持つオフビートでナチュラルな振る舞いは、変わってしまった慌ただしい世間に対して水をさすカウンターとして機能していた。つまり、木村の演技としては“あえて新しいことをしない”という保守化だが、それ自体が反時代的なメッセージとして機能するということが『HERO』では起きていたのだ。

これをラブレターといわずしてなんと呼ぶ!

しぃちゃん

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