今井舞の「週刊ヒトコト斬り」

キンタロー。のモノマネタレントとしての致命的な欠陥とは

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松竹芸能公式サイトより

――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!

◎モノマネ四天王から学ぶべきこと
 私事だが、パナソニックの新しいHDDがものすごく便利だ。思い切って買って大正解。3週間丸々、全てのチャンネルの全番組が勝手に録画済み。これまで、古くてあまり使ってない物も含め、計6台のHDDを駆使して仕事してたのだが。裏録もしなくていいし、何より「話題になりそうな番組を予想して録る」というコーチ屋みたいな毎日のルーティンワークから解放されたのが有難い。もういつでも何でも見られる。そんな生活を手に入れて、最も見てるのは何かというと、「19時のNHKニュース」だったりするんである。今日1日何があったのかを振り返れて、見てて何のストレスも感じない。30分という長さもちょうどいい。これまで、わざわざ録画することなんてなかったのだが、外出したり、ほかのバラエティをチェックしたりで見られなかったりすると、風呂上りの無意識の状態で再生しているのは気付くといつもコレ。そうか。結局「19時のNHKニュース」だったか。

 と、何か大御所エッセイストみたいな書き出しで恥ずかしいが。全てのテレビをいつでも見られる状態を手に入れて、あらためて「本当に、このままだと、誰もテレビ見なくなるなぁ」としみじみ思ったので、つい。この機械、すごく便利だけど、私のような仕事でもなければ、十何万も出して買う人間はいないだろう。金出してまで見るモンじゃないよテレビって。この仕事してなかったら、私も絶対買わない。

 話は変わるが、キンタロー。である。最近のキンタロー。って、いつもグジュグジュ悩んでる印象がある。ま、通常はキンタロー。について深く考えることもなく、その悩みに思いを巡らすこともなかったのだが。『解決!ナイナイアンサー』(日本テレビ系)の中で、「芸能界で生き残るにはどうしたらいいか」という自身の悩みについて尺取って語っていたキンタロー。まあこれは彼女に限らず、芸能界にいる99%の人間が同じことで悩んでるとは思うのだが。しかし「モノマネで出てきたので、自分のキャラが見つけられてない」というのが悩みだとぬかすのだ。ええッ。モノマネタレントにキャラ? モノマネタレントって、むしろ自分のキャラなんて一番後回しで、新ネタ仕込みに心血注ぐものじゃないの? コージー富田や原口あきまさやみかん本人のキャラなんてどーでもいい。我々が彼らに期待するのは、面白いネタの提供、その一点のみ。いや、「ずば抜けてモノマネがうまい人間」として、コツやネタの拾い方などのベクトルでの「私生活」には興味はあるが。あくまでも、「優れたモノマネを生み出す職人」としての部分に期待しているわけである。

 しかし。キンタロー。が抱える悩みは、「新ネタがない」とか「飽きられてる」とか、そういうモノマネ芸人としての真っ当なものではなく、「自分のタレントとしての未来」てなところにあるのである。いやー。これって、もう完全に「モノマネされる側」の人間の自意識だろう。「モノマネで出てきたので」って、出自と違うダンジョンに、脳内で勝手に到達しちゃってる。驚いた。キンタロー。がそんな勘違いをしてしまうほど持てはやされた記憶もないのだが。てことは、やはり彼女の自意識が元々「モノマネされる側」にあったってことなんだろうな。キンタロー。の分際で。たまげた。

 イモトアヤコを目指すと言ってた美奈子もそうだが。「勝手にすれば」と放っとくと皆コレである。「分をわきまえる」という日本の美しい精神はどこへ行ったのか。どいつもこいつも主役気分。私はディズニーのせいだと思っているのだが。皆さんはどうですか。続きはテレゴングで。

◎旭道山の新しい土俵
 そして同じく『解決!ナイナイアンサー』に出ていた旭道山。いや、ネタをケチっているのではない。なんたって、こっちは全番組おさえられんだから。ホント、たまたま見たのがネタの宝庫だったってことに尽きる。この番組は、芸能人の家族の確執を取り上げる企画が多いのだが、アオるだけアオって、結局着地点はいつも同じ。「あなたは無理をして頑張りすぎてたんですよ」と言われて相談者滂沱の涙とか。

 だが、この旭道山の回は違った。いちバラエティが解決できるようなものじゃない、ホンマもんの確執。特にドラマチックな話でもなく、ただ「子どもより自分」を選んできた母に振り回された過去を淡々と振り返る旭道山。何より、旭道山本人がもうきちんとそのことに対して気持ちの整理を付けているので、バラエティがとりなす隙はハナからまったく見えない。

 なのにいつもと同じお涙路線を貫こうとする番組側。おなじみのカウンセラー心屋仁之助(て名乗っちゃうところがもうさあ。本名だったらすいません)が「遅い反抗期ですね」としたり顔で言ってたりする。だが旭道山、導線に一切乗らず。このテのやり方って、登場する本人が「私の話を聞いてッ!」ってメンタリティでないと成立しないってことが、今回よくわかった。話を聞いて、何か言って。できれば私が言ってほしいと思っていることを。そういう傾向の人間が欲しがる画ヅラを提示することには非常に長けているが、旭道山のようなメンタリティの人は捌けない。

 感情的になることもなく、過剰に抑えることもなく「もう自分の中で完全にキリがついた過去のこと」として、母と接する旭道山。久々だという対面の場で、最初から涙ながらに「今日は貰った指輪をしてきたの……」と前のめりの母に「そういうの、いいから」と冷笑しピシャリ。母のいろんな言い訳を最後まで静かに聞いて、「でも、それは小さいことだよね」と一言。幼少時から勝手な母親の尻拭いを黙ってしてきて、夢もあきらめ、借金も肩代わり。よかれと思って店を出させたら、理由も言わず突然蒸発。「父親が金を入れない」だの「店に来なくていいと(次男に)言われショックだった」だの……。うん。確かに小さいことだわな。もう我慢や怒りといった感情の波を完全に超えたところに到達した人間の、静かな目。心屋仁之助をはじめとする番組側は、今回死ぬほどやりにくそうだった。「あなたは我慢しすぎで、甘えられなかったんですね」なんていつものセリフ出しても、泣かないもんな旭道山。母親の涙もすぐ引っ込んでたし。これはいいもの見せてもらった。占いとか、カウンセリング(医療的じゃないヤツ)とか、癒やし、風水、前世……そういうのが大好きな人たちに漂う、独特のみっともなさを、他意なく白日の下に晒してくれた感じ。現役時代のこととか一切知らないけど、ありがとう旭道山。これからも、道場破りのように、このテの番組を次々とツブして行ってくれるとうれしい。草木一本生えないくらいに。

◎小骨が引っかかる
 何かフランスで賞を獲ったとかいう吉永小百合の映画。いつもと寸分違わぬ吉永小百合な映画って感じだったが。初プロデュースらしい。おめでとうございます。

 それを報道したニュースで、舞台となった実在の喫茶店の寄せ書きノートを映していた。そこには吉永小百合直筆のお礼も書かれていたのだが。吉永小百合、自分の似顔絵を描き添えていたのである。70年代の女性マンガ家っぽいタッチで。過度に盛ることもなく、卑下することもない、等身大な感じの、優しく微笑む自身の顔を。描き慣れてるのか、結構うまい。そうか、吉永小百合は自画像添えるタイプだったのか。VTRでは、ノートの中の映してはマズい部分(個人情報等)を隠していたが。果たして「吉永小百合が描いた自画像」、これは映していい情報だったのだろうか。映画のタイトルとか賞の名前なんかより、あれ見て以来、そのことで頭がいっぱいになったままである。

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今井舞(いまい・まい)
週刊誌などを中心に活躍するライター。皮肉たっぷりの芸能人・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)など。

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