介護をめぐる家族・人間模様【第38話】

「老いた親と会話しなくても、そばにいるだけでいい」死期が迫った息子の決断

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Photo by Blowing Puffer Fish from Flickr

 広島の土砂災害の被害に遭われた方に心からお見舞いを申し上げたい。山がすぐそばに迫る場所に住むことの危険性をあらためて感じると同時に、東日本大震災後、津波対策として高台移転が進められているが、土砂災害対策は万全なのだろうかと心配になった。海に囲まれ、山が多く平野の少ない日本で、津波からも山崩れからも逃れられる安全な土地なんてどれだけあるというのだろうか。

<登場人物プロフィール>
鳥越 幸作(46) フリー編集者。都内に家族3人で暮らす。実家は北関東
古川 雄二(58) カウンセラー

■親と会話が続かないという悩み

 鳥越さんはフリーの編集者だ。40代も半ばとなると、親のことが気にかかる年頃だ。とはいえ、「いかにも親孝行」なんてことは気恥かしくてできない。年に数回、実家に顔を出しても会話も続かず、なんとなく気まずくなってただテレビを見ているだけ。息子なんてみんな似たようなものだろうと思っていた。そんなとき、ある雑誌の取材で出会ったのが心理カウンセラーの古川先生だった。

「さすがカウンセラーだけあって、物腰が柔らかくて人あたりのいい先生でした。家族とのコミュニケーションがテーマだったので、僕も個人的な悩みを絡めて聞いてみました。『実家で二人暮らしをしている両親のことが気にかかってはいるけれど、どういう会話をしたらいいのかわからない。ましてや急に相続の話や、遺言の話なんて言い出せるわけがない』ってね。相続税の対象となる人が増えて、一般庶民も早いうちに対策を取っておかないといけないということで、兄弟で揉める前に親とちゃんと話をしておこう、ってうちの雑誌でも特集を組んでいるくらいなんですよ。しかしその前に、どうやってそういう話ができる関係になっておくかっていうのは、僕みたいな息子からしたら大問題なんです。高校時代の友人はこのお盆に、父親が亡くなったときに連絡をする人のリストを教えてもらったって言ってましたよ。まあ『連絡した友人の方が先に亡くなっていることもある』って苦笑してましたが(笑)。ずっと気になっていたものの、なかなか言い出せなくて、今年ようやく聞けたってね。それでもそんな良好な親子関係ばかりではないと思うんですけどねぇ」

 確かにそうだ。認知症かもしれないと思っても、病院にどうやって連れて行くのかが問題だし、遺言を書いてもらいたいと思っても、そんな話題を持ち出すこと自体ができない。そんな子どもも多いだろう。カウンセラーの先生に模範解答をもらっても、その通りにできるかどうか、甚だ心もとない。

「僕も当初はそう思っていました。一応模範解答を教えてもらって、うまいこと記事にまとめるしかないってね。でも古川先生は違いました。自分も親との関係は試行錯誤であること。車を8時間走らせて夜中にやっと着いた実家で、頑固な父親と大ゲンカになって、その足で帰ったこともあること。それでも懲りずに帰省していること。記事にはしませんでしたが、カウンセラーとしてはどうなの? と思うようなことまで正直に話してくださって、この先生は信頼できるなと思いましたね」

あの人もこの人も親の前では1人の子ども

しぃちゃん

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