深澤真紀の「うまないうーまん」第18回

夫婦が家事を分担するには、「丁寧に暮らす」ことを捨て「効率」を優先すべし!

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イラスト:小野ほりでい

 「へーベルハウス」で有名な旭化成ホームズが行った「妻の家事ハラ白書」という調査が、問題となった。

 そもそも「家事ハラ」という言葉は、ジャーナリストで和光大学教授の竹信三恵子が出版した『家事労働ハラスメント』(岩波新書)による造語だが、それは主に女性に家事育児介護などが押し付けられているという問題について、「家事労働は無視され、時に蔑視され、これを担った人々は、十分に外で働けないため、経済力や発言力を奪われがちな状態」を表した言葉であった。しかしこの「妻の家事ハラ白書」では、「妻の」とあるように、“夫のする家事に苦情を言う妻の行為”を「家事ハラ」と呼び、まったく逆の意味で使ったのだ。そしてこの調査は旭化成ホームズの“共働き家族研究所”によるもので、“夫婦が家事をすることを応援する”という体裁をとりながら、結果として家事を担う妻を批判することになってしまったということだ。

 この「誤用」を知った竹信が旭化成ホームズに抗議したところ、同研究所の入澤敦子所長は「夫の家事参加を促す狙いだったが、誤解を招く表現があった」と謝罪、さらに現在「妻の家事ハラ白書」のサイトには、竹信の著書の紹介とともに「本サイトでは『男女の家事シェアを促進する』という趣旨で、意欲はあるものの夫の家事がうまくできていない現状を顕在化させる広告表現として‘家事に対する何気ないダメ出し’のことを『家事ハラ』とネーミングして使用しております。一方で、和光大学教授竹信三恵子氏の著書で『家事ハラ』については既に用いられており、その内容の差異を掲出する目的でご紹介をしております。」という注意書きが載せられている。

 すぐに謝罪し、対応策をとった旭化成ホームズの姿勢は評価できるし、そもそも同所の「いまどき30代夫の家事参加の実態と意識」という報告書自体を読んでみると、男性の家事参加を推進するためのかなりきちんとした内容だったために、今回の行き違いは残念としか言いようがない。

 この「妻の家事ハラ白書」は発表当時にそれなりに反響を呼んだために、さまざまなメディアで「妻による家事ハラを受けた男性は7割」などという、“わかりやすい妻叩きの言葉”として流通してしまっている。「家事ハラ」の誤用は、私の名付けた「草食男子」がいまどきの若者を評価したものだったのに、メディアによって“わかりやすい若者叩きの言葉”として誤用された例にも似ていると思う。

 メディアが“男性の家事参加をポジティブに促す”ことは、単純なようだがやはり重要なことである。例えば、今では当然のようにテレビなどで見ている男性芸能人の料理姿だが、一般的になったのは1996年に始まった『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の「BISTRO SMAP」からであった。トップアイドルのSMAPが料理をすることは、特に若い男性に大きな影響を与え、「料理をする男性はカッコイイ」という風潮が生まれたと思う。最近では、俳優の西島秀俊がライオンの柔軟剤ソフランのCMで「主夫」を演じ、多くの女性に支持されている。洗剤や料理にまつわるCMは女性主体なものが多い中で、人気の高い西島が自然に楽しそうに主夫をやっているCMは、ライオンの企業イメージすら高くするものだと思う。

 残念なことに日本の共働き夫婦では、男性が家事をしない現状がある。共働きでも「まったく家事をしない夫」が7人に1人、「家事をする夫でも分担割合が1割以下」(要するに“ゴミ捨てだけする”などだろう)の家庭が3割だという。そして、子どもがいない40歳未満の妻で「今後子どもを持つ予定がある」のは、夫が家事をよくする家庭では7割あるのに、ほとんどしない家庭では5割以下になってしまうのだ(「全国家庭動向調査」より)。つまり共働き夫婦にとって、夫が家事をするかしないかが「子どもを持つかどうか」に大きな影響を与えるわけである。

「丁寧な暮らし」って、もはや「趣味」だからさ!

しぃちゃん

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