映画『ママはレスリング・クイーン』トークイベント

シングルマザー、対人恐怖症……女たちが「女子プロレスラー」になって満たされた欲望

2014/07/24 18:00
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左から、真琴、Ray、朱里、木村響子

 はぁ~い! タテロール高柳です。今回は、映画『ママはレスリング・クイーン』の公開記念トークショーに行ってきたの。なんでも人生に行き詰まった女性たちが、プロレスを通して輝きを取り戻していく姿を描いたハートフルな内容らしいのよ。

 試写会が行われる会場に行ったけど、客席は寂しい感じだったわ~。横にいた記者は「この映画ってプロレス雑誌の取材しか来てないんじゃないの?」とか言ってるし、客席には学生プロレスの元チャンピオンがいるしで、どうやらプロレスマニアしか集合してないみたい。テーマはプロレスだけじゃないのに、もったいないわ~。

 映画の内容を反映して、トークショー出演のメンバーもRay、真琴、朱里、木村響子といったワケあり女子プロレスラーが登場。みんな人生どん詰まりの果てに、プロレスラーになったっていうのよ~。立ち技格闘技のKrush女子王座も保持する朱里さんは、「アイドルになりたかったけど、ふと気づいたら女子プロレスラーになってた」という25歳。AKB48に応募していそうな風貌だけど、プロレスで三冠王だっていうから本気で強いのよ。昔でいうとキューティー鈴木のようなレスラーかしら? 最近のプロレス事情からすると、アイドル的な存在は必要みたいなの。事情通によれば、プロレスをテレビで放映しなくなってからプロレスファンが激減。特に女子プロレスに至っては、本当のマニアしか見ない色物的なものになっているらしいのよ。

 映画では、主婦の主人公が昼はスーパーでレジ打ちのパートに励み、夜は女子プロレスラーになって戦うんだけど、トークショーで登壇した4人もみんな“兼業”レスラー。口々に「プロレスだけで食べていくのは難しいです」と言っていて、昨今のダブルワーカーの増加と不況を実感させられたわ~。安倍政権って、ホント世知辛いのよねぇ。中でも、「プロレスで子どもを育てた」と話すシングルマザーの木村さんの話は、身につまされたの。「子どもを食わせるために、絶対ケガできなかった」って泣かせるわねぇ。ケガをしたらリングに上がれないもの。本当、シングルマザーが生きていくって大変なのよ~。

 引きこもりの対人恐怖症だという、“女子プロレスラー兼ニート”の真琴さんは、ゲームやコスプレが好きなんだって。ちょっと経歴を調べてみたら、秋葉原のメイドカフェで働いていたから「現役メイドプロレスラー」なんて呼ばれたこともあるみたいよ~。プロレスをするのが不思議な雰囲気だけど、「殴ったりしてストレス発散できるからいい」とか言ってて、三者三様、みんなワケありね~。

 年齢は非公開、謎の覆面戦士Rayさんに至っては、「覆面を絶対外せないレスラー人生そのものが大変」って言ってたわ。そうねぇ、自分のキャラクター設定を守って生きていくことってつらいわよねぇ。……あら? Rayさんと物すごく目が合うわ。もしかして知り合いなのかしら~。Rayさんはイベントの企画や営業をしている兼業レスラーっていうから、絶対どっかで会ってるわねぇ。世の中って狭いわ~。

 トークの後は、メキシコ人の女子プロレスラーが乱入するっていうプロレスらしいお約束ハプニングもあったの。でもねぇ、言葉が通じないらしいのと、打ち合わせ不足だったのかグダグダすぎる乱入だったわぁ。プロレスマニアだけが喜ぶような演出だと、ワタシにはつらいわねぇ。

 でも最近、恋もご無沙汰のワタシからすると、満たされない欲望や願望ばっかり心に溜まっちゃうのよね。そうでなくても、オンナを長く生きていると、どこかしらドン詰まりになってくるわ~。プロレスでもなんでも、そんな持て余した思いを解放できる場所がほしくなったわぁ。
(タテロール高柳)

『ママはレスリング・クイーン』
シングルマザーのローズは、ある事情で離れて暮らす最愛の息子ミカエルと5年ぶりに再会を果たすが、彼は心を開いてくれない。ローズはミカエルが WWE の大ファンだと知り、息子の心を取り戻すためにプロレスに入門を決意する。ローズはスーパーマーケットの同僚 3 人、主任のコレット、男好きのジェシカ、肉売り場の“怪人”ヴィヴィアンを巻き込んでプロレスチームを結成、百戦錬磨のメキシコ女子プロレスラー軍団との対戦も決定し、猛特訓を始める。
・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー中
公式サイト

最終更新:2014/07/24 18:06
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