イケメンドラマ特捜部【ジャニーズ&イケメン俳優】

『SMOKING GUN』――肉体&エロスを封印し、健全化されたSMAP・香取慎吾の歪さ

2014/05/26 21:00
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『SMOKING GUN~決定的証拠~』公式サイトより

仮面ライダー俳優から個性派へ、アイドル俳優から実力派へ――ドラマでの若手俳優の起用法は、ここ10年で大きく変化した。ジャニーズとイケメン俳優の現在の立ち位置と魅力を、話題の起用作から読み解いていく。

  SMAP主演のドラマが年々、魅力をなくしているのは、多くの人が薄々感じていることではないかと思う。中でも、香取慎吾のドラマは精細さを欠いており、現在放送中の『SMOKING GUN~決定的証拠~』(フジテレビ系)も、視聴率が急降下。第7話では5.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の最低視聴率を記録した。

 物語は民間の科捜研・千代田科学捜査研究所を舞台とした一話完結の事件モノ。香取慎吾は調査員の流田縁を演じており、依頼人からの調査を請けることで起こる事件と並行して、恋人のエミリ(倉科カナ)が殺された事件の真相を調査している。科捜研が舞台のため、研究室で証拠品を鑑定する場面が延々と続いて画面が地味なことや、唐突にエミリの回想シーンが入るため物語がわかりにくいことなど、ダメな理由を上げていけばキリがない。中でも決定的な問題は、上司を演じる香取を主人公として描こうとするあまり、ほかの登場人物の魅力が損なわれていること。これは、ここ数年のSMAP主演のドラマの傾向でもある。

 例えば、普通のドラマなら視聴者の分身の役割を果たす新人調査員の石巻桜子(西内まりや)とアルバイト調査員の松井丈太郎(中山優馬)の2人の若者を能動的に動かして事件を調査させ、上司の香取は助言を与える先輩という、一歩下げた構造にすれば、2人の魅力はもっと引き立ったはずだ。また、流田の過去を2人が少しずつ知っていく話にすれば、もう少しドラマも盛り上がったかもしれない。本来、何を考えているかわからない天才肌の流田が積極的に行動してしまうので、ほかの登場人物の存在する意味がどんどん弱くなっているのだ。

 それでも、流田に圧倒的な魅力があれば、まだ楽しめたかもしれない。しかし、香取の演技は、普段はごにょごにょとしゃべり、いざ、大事なことを言う時は、まるで外国人がカタコトの日本語をしゃべるように、目の前の文字を読んでいるような話し方になる、という相変わらずのもので、その独特の口調と、茂木健一郎のような謎のパーマとの相乗効果によって、作品の趣旨とはズレたところで演技が悪目立ちし、ドラマのバランスを見事に壊している。

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