「タレント本という名の経典」

モテ女子のテクを「コワ~イ」と一刀両断、保田圭『美ブス婚』のしたたかな上から目線

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『美ブス婚‐最下位娘。の婚活物語‐』(ワニブックス)

――タレント本。それは教祖というべきタレントと信者(=ファン)をつなぐ“経典”。その中にはどんな教えが書かれ、ファンは何に心酔していくのか。そこから、現代の縮図が見えてくる……。

「おいしい」は「カワイイ」に勝てない。

 保田圭の『美ブス婚 ~最下位娘。の婚活物語』(ワニブックス)はタイトルどおり、元モーニング娘。である保田圭の婚活成功物語である。イケメンのイタリア料理研究家・小崎陽一氏とめでたく結婚にこぎつけたのだから、さぞ幸福感にあふれているかと思いきや、読後に訪れたのは、悲しみにも似た上記のような感想だった。

 本書で保田は、アイドルグループ・モーニング娘。において、「ブスキャラ」だったと自身を振り返る。5,000人以上の応募者の中から、見事オーディションに合格したものの、保田はマネジャーに「おまえはモーニング娘。8人の中で8番目だからな」と宣告を受ける。実際、ポジションはいつも後列で出番も少し。保田はセンターの安倍なつみと自分を比較した結果、「あのカワイイ顔で、しかも華があるなっちには、もうど~やったって勝てない(笑)」と悟り、路線変更を決意する。

 新しい路線は歌やダンスに磨きをかけることと、8人中8番目というポジションを逆利用して「ブスキャラ」を担うことだった。保田は「最初はヘコみました。自分のことが可愛いと自信は持っていなかったとしても、国民的アイドルになれたわけですから、少しは…」と葛藤があったことを認めているが、「それで名前を覚えてもらって、笑ってもらえたら、この仕事をはじめた意味がある!」と割り切ることにしたそうだ。

 そういえば、同グループの吉澤ひとみが、『さんまのホントの恋のかま騒ぎ!』(TBS系)において、保田がブス扱いされることを「最初はかわいそうだと思ったけど、結局おいしい」と語っていたが、ブスキャラが仕事上のプラスになったことは間違いない。

 本書において、保田は自らを「ブス」ではなく「ブスキャラ」と表している。これは国民的アイドルグループの中においてはブス役だけれど、アイドルであるから、一般人よりははるかに上という矜持を表していると思われる。しかし、仕事上のキャラがあまりに世間に浸透しすぎて、プライベートの場で「保田を彼女にするには、恥ずかしいと面と向かって言われた」と、「ブスキャラ」ではなく「ブス認定」されたと書いている。トップアイドルの一員である自負と、愛されるアイドルでいるための戦略として「ブスキャラ」を選択したものの、プライベートでもブス扱いされて男性に愛されなくなるという現実。この軋轢は、保田の自意識を捻じ曲げたように思う。

 本書には「(結婚を打ち明けた際に)友人が『絶対だまされてる!もしくはこれはドッキリ!』という言葉を押し殺していたんじゃないかなと思ったり…」と度を越した自虐表現が連なっているが、その根底に潜むのは、自信のなさではなく、負けず嫌いな性質である。合コンで会った男性に「なっちに会えない?」と男性に頼まれたことがあるなど、本書には、安倍と自分を比較した記述が随所に見られる。カワイイなっちには勝てないと言いつつも、なっちを意識しているということは、保田は負けを認めてはいないということだ。どうにかして勝ちたい、そのためには、なっちより多くのウケを取ることが必要であり、だから過激な自虐に走ってしまう。つまり、自分に自信があるからこそ、過剰に自分を落としめるのだ。

アイドルとブスという劇薬を同時に服用したばかりに

しぃちゃん

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