[女性誌速攻レビュー]「VERY」5月号

「うんこ、おけつ」で叱っちゃダメ! トンデモすぎる「VERY」の「メンタル強化術」

2014/04/19 19:00

 この時イケダンは、次のようなことを考えているのではないでしょうか。志保は正直に語っているだけなのに、ママ友には「本当は普段も自社ブランドの肌着を着させているのに、気を使ってくれているんだ」と映るのではないか、と。だからこそ、イケダンは「感心してしまう」わけです。

 この小説、イケダンの観察眼がキモになりそうな気がします。昔は男性というものは、心の機微が読めないものとされていましたが、女も男と同じように外で働き、家事をするのが不思議ではなくなった時代には、情緒の面でも、男女の差がなくなってきたのかもしれないなと思わされました。これから、このイケダン目線で、どのような物語が語られるのか楽しみです。

■男の子の「オスのツノ」って何?

 もう1つ気になった特集は「メンタルが強い子を育てたい 私たちの理想と現実」です。4~5月頃は、若者がすぐに会社を辞めてしまう問題に絡めて、「メンタル強化」をテーマにした特集が盛んに組まれますが、その流れに「VERY」も乗ったようです。「わが子のメンタルを強化するためには、親としてどうしたらいいのか?」について、専門家がアドバイスをしています。

 しかし……この専門家の解説には驚く箇所が満載! 男の子について「高いところから飛び降りたり、戦いごっこをしたりと危険なことをするかと思えば、『うんこ、おけつ』と下品なことを言って喜んでいるでしょ。それが男なんですよ」と語り、それをお母さんが「やめなさい」と言うことで「オスのツノ」を折ってしまう。そのことが大人になってからの折れやすさにつながると説くのです。

 また女の子については、「幼い頃から遊びの延長で精神的圧迫のあるイジワルな言い合いを日頃やる習性があるんです。イジワル耐性ができているから社会に出ても強かったんですね」と。

 要するに、男の子は男らしくすれば耐性ができるはずで、女の子は幼い頃からイジワルだから耐性があるということですよね。その後も、「一日に3分は抱きしめてあげて」「子供にとって母親の存在って偉大。男の子にとっては女神(笑)」「3歳までは母の絶対愛を教え」と、最後はお決まりの三歳児神話で締めくくられていました。

 「VERY」はかつて、「“サッカーも野球もしたくない男の子”の育て方」という、世間一般にいわれる「普通」とは異なる子との接し方を特集した雑誌。こうした多様性を受け入れる記事こそ、「VERY」のよさだったのに……今月号は、ちょっと疑問が残る読み物ページでした。
(芦沢芳子)

最終更新:2014/04/19 19:00
『VERY(ヴェリィ)2014年05月号 [雑誌]』
少年心を引きずったオッサンほどめんどくさいものないけど
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