[連載]マンガ・日本メイ作劇場第35回

33歳OLと21歳大学生の年の差愛――『きょうは会社休みます。』が最高にイラつく理由

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『きょうは会社休みます。』(集英社)

――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いてけぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史にさんぜんと輝く「迷」作を、ひもといていきます。

 少女漫画に登場する男たちは、いつだってかっこいい。見た目はもちろん清々しく、体脂肪率だって10%未満(推定)だ。たいてい勉強かスポーツができる。その上、一見貧乏そうだけど、実は金持ちだった、という『MARS』(講談社)の樫野くんみたいな例もある。

 そして、そこで描かれる恋愛は、「好きになった男について行ったら、一発ヤられてポイ」とか「その後、救ってくれる男もなし」といった胸をえぐられるような痛い話は存在しない。なぜなら少女漫画は、女が社会を生き抜くつらさを忘れさせたり、「逆境にあっても頑張ろうぜ」とエールを送ってくれる、女に夢と希望を与えるメディアだからだ。

 しかしここに、世の中の女たちを激しく怒らせている作品がある。『きょうは会社休みます。』(集英社)だ。いつ誰が会社を休むかと言えば、主人公が男とエッチした翌日っていうね……なかなか生々しいね……。

 主人公・花笑は、33歳のOL。そしてお相手は、大学生の田之倉くん(21歳)。そうこのカップルは、ひと回りの年の差カップルなのだ。この作品の大いなる問題点は、ひとえにこの田之倉くんなのである。社会に出てもう10年もたったような女たちは、この田之倉くんの話を読んでは、激しくイライラすることになる。

 田之倉くんは、W大学経済学部(一流)の学生である。学生で、1人暮らしのくせに、なんだか金持ちである。株で儲けてるんだって。さすが経済学部。初っぱなから田之倉くんは、サプライズで花笑の誕生日を祝ってくれたり、「お昼食べましょ」と誘ってきたりと、少々の萌えジャブをかましてくる。そして田之倉くんと付き合ってもいいのか(12歳も年下だしね!)迷う花笑に、

「たぶん青石さんオレのこと好きですよ」

 えっ? 12歳も年上の女に向かって、なにその自信満々なセリフは? しかもその前には、自分の友達に向かって、花笑を「今はこの人に片思い中」と紹介することで、自分の思いを告白(これもジャブの1つ)。1巻の中盤ですでに、田之倉くんの小ジャブにより、もう読者はフラフラになってしまう。

 30過ぎていまだに実家暮らしの花笑は、実は田之倉くんは初めての彼氏であり、初めての人。それゆえに、どうしても不器用になってしまう花笑を、田之倉くんはそりゃあもう羽毛布団のような温かく広い心でフォローしてくれるのだ。お前さ、年上の女相手に、「向こうの方が経験豊富そうだし」とか期待したりしてないの?

 お泊まりの日、シャワーを浴びて、さあこれからって時にダメになっても、デートが残業で流れそうになっても……花笑が何をしても不機嫌になったり怒ったりせず、ひたすら微笑みの人である田之倉くん。花笑の「父に紹介したい」などという鬱陶しいイベントにも、にこやかに応対してくれる。なにお前、「まだしばらくは遊びたい」とか思ってないの?

ショック療法には有効!

しぃちゃん

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