[官能小説レビュー]

男の性奴隷と化したCAたち――『夜間飛行』が問う、女を花開かせるものとは?

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『夜間飛行』/二見書房

■今回の官能小説
『夜間飛行』(蒼井凛花、二見書房)

 昔から「女の勝ち組」職業といえば、キャビンアテンダント(CA)だ。容姿と知性の両方を兼ね備えているCAは “高嶺の花”というイメージが強く、だからこそ、男の征服欲をそそる職業ではないだろうか。
 
 知られざるCAの世界が描かれている『夜間飛行』(二見書房)の著者・蒼井凛花は、元CAという経歴を持つ異色の女流官能小説家だ。現役CA時代の経験に基づいて書かれている飛行機内のバックヤードの描写は、非常に興味をそそられる。

 入社2年目の新人CA・美緒は、華やかな職種とは裏腹に、ごく普通の女性。彼女が目標にしているのは、入社5年目の里沙子。学生時代にミスキャンパスに選ばれた美貌の持ち主だ。

 ある日美緒は、ミーティングルームでキャプテンの堂本と里沙子がセックスをしている場面を目撃してしまう。その後何事もなかったようにミーティングは始まり、飛行機は離陸したが、里沙子の機内アナウンスが乱れたことを心配した美緒は、ある衝撃的なものを見てしまう。声をかけた里沙子の足もとから、ピンク色の小さなカプセルが落下――それはピンクローターだった。

 里沙子に、ミーティングルームでの逢瀬を覗き見していたことを追及され、「キャプテンからの命令」だと目の前でオナニーを見せつけられる美緒。さらに美緒は、キャプテンに気に入られ、ステイ先のホテルで、里沙子と共に部屋へと呼び出されることになる。

ルームサービスの食事を楽しみ、バスルームから戻ると、目の前では堂本の愛撫を受ける里沙子の姿があった。誘われるままに里沙子と抱き合い、写真に撮られる美緒。「いいか、お前はいずれオークションにかけられる」と、キャプテンに羽交い締めにされながら、美緒は体を開いた。
 
 美緒は、抜擢されたCAがオークションにかけられる、「白ユリ会」という会社の闇組織に売られた。それからというもの、美緒はフライト中やステイ先のホテルで、代わる代わる男たちを相手にすることに。そして、ついに「白ユリ会」のオークションに出品されたが、彼女を落札した彫刻家の男は、美緒の体にまったく興味を示さなかった。

 裸の美緒をデッサンし、共に食事をし、眠る――淡々とした日常を送る中で、美緒は次第に自分の体に自信をなくしてしまう。そんな美緒のやるせなさは、彫刻家への恋心へと変わってゆく。

 こうして性奴隷と化していった美緒だが、いつ何時も、彼女の視線の先には里沙子がいた。美緒にとって、初対面の男たちとのセックスは苦痛でしかなかったが、彼らの性欲を受け止め、求められるままにセックスに溺れる里沙子は、美緒の目には美しく、そしてたくましく映ったのだ。

 里沙子にあこがれを抱いた美緒は、彼女の背中を追うように、女として花開いた。そして同時に里沙子も、女性として未熟な美緒のあこがれに応えるように、さらに女として花開いた。

 本作は、男たちの支配欲をくすぐるCA という職業を題材にし、その欲を満たすものであるように見せかけて、実はそれだけではない。美緒がCAの先輩後輩という関係性の中で、女として開花していく過程が描かれているのだ。

 CAという女社会で磨かれた美緒を見ていると、「女を美しく育てるのは男だ」というのは、男たちの身勝手でお気楽な勘違いなのではと思えてくる。女同士の嫉妬やあこがれこそが、より女を強く美しく育てるのかもしれない。本作は「女を育てるのは女」ということを実感できる作品である。
(いしいのりえ)

CAという職業への妄想が爆発!!

しぃちゃん

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