[連載]マンガ・日本メイ作劇場第34回

真央ちゃんや結弦くんよりドラマチック!? 失踪者続出のスケート漫画『愛のアランフェス』

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『愛のアランフェス(1)』(集英社)

――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いてけぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史にさんぜんと輝く「迷」作を、ひもといていきます。

 ソチオリンピックが終わった。マンガ脳女のみなさん、お疲れ様でした。君たちは毎晩朝方まで観戦に明け暮れてたはずだ。何よりマンガ脳に響く競技といえば、「フィギュア」だからだ。「逆バレンタイン」という謎の言葉を造成した町田樹選手はともかく、優等生ぶりがBBA心を刺激する羽生結弦選手は少女マンガから抜け出たような風貌。そして「こりゃ本物か!」の結成1年の急造ペア高橋・木原組。男子選手の木原龍一選手は、1年前まではシングルの選手だったそうだ。シングルからアベック競技への転向は、そりゃあもう少女マンガ頻出のパターンなのですもの。

 一見華やかで男女がイチャイチャくっつくフィギュアのペアものは、バレエよりも人気が高い少女マンガジャンルである。数が多ければメイ作数も膨らむわけで、フィギュアものは『Theチェリー・プロジェクト』(講談社)でもう紹介済みだが、もういっちょいってみよう。『銀色のフラッシュ』(小学館)も相当捨てがたいんだけど、今回は『愛のアランフェス』(集英社)で。

 アラフォー漫画読みなら、誰もが知っているこの作品。幼い頃には胸ときめかせて読んだことでしょう。しかしあらためて読んでみると、なんとも謎がいっぱい……。

 北海道は釧路で人知れず育った亜季実。東京で開催中のフィギュアスケートのエキシビジョンにいきなり乱入して3回転ジャンプを披露し、「すわ、天才少女現る!」と世間の話題となる。ここの無理矢理な乱入ぶりも、セキュリティ意識の薄い70年代だからこその展開だが、彼女は実はスケートの往年の名手といわれた森山優一の娘だったのだ。上京した亜季実は、大会に出るために必要なシングルの資格試験を次々に突破していく。一方で、怪我をして再起不能といわれた黒川貢は、亜季実に刺激されたかなんかで復活をした後、なぜだかわからないけど、突然亜季実とペアを組むことにする。その後、黒川と亜季実はペアを解消したり、亜季実が不安になったりしながら話は進む。

 この話のすごいところは、なんといっても失踪する人間がぞろぞろいることである。失踪失踪、また失踪。まず亜季実の両親は、駆け落ち同然に釧路に逃れて失踪(なんで逃亡者って北に向かうんだろうな、南の方が生活楽そうなのに。外に干したおむつが凍ったらしいよ)。黒川もまた失踪名人。まずは欧州選手権選抜大会の5日前から失踪。突然思い立って、亜季実を置いて留学したらその先で失踪。黒川が失踪名人なら、黒川と付き合ってた女もまた失踪好き。黒川の弱みにつけ込んで付き合っていたけれど、心の呵責に耐えかね、別れの手紙を書いて失踪。黒川と亜季実ペアを指導するために登場する嵯峨島コーチもまたプロの失踪家。とある事故で傷心の末、1カ月ほど失踪。その後本格的に10年ほど失踪。10年もどこで失踪してたかと思えば、ソビエトで普通にコーチをしていたらしい。おそロシアソビエト! おまけにもう1人、アメリカ留学をしていた選手・柴鷺夫は、腰痛が悪化したので失踪。

半径5m以内の幸せを探す少女漫画に飽きたアナタへ

しぃちゃん

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