【ジャニーズ・ワールド】

「カズ、きょうも朝だな」田原俊彦が振り返る、三浦知良との“イタリアンマフィア”ごっこの日々

2014/02/16 15:00

 そんなイタリアンマフィアごっこも楽しむ、“ラッキー・トシ・ルチアーノ”は、本書が出版された2011年が、芸能生活32年にあたる年だった(初版は09年、本書は再版)。その32年の最初の15年は、「『The・アイドル』としての生き方をまっとうした」期間(つまりジャニーズ事務所時代)で、その後を後半と位置づけている。もちろんその境目には、あの「ビッグ発言」がある。1994年2月、長女が誕生したことを報告する記者会見で、「何事も隠密にやりたかったけど、ボクぐらいビッグになってしまうと……」と発言したことで世間からバッシングを受けてしまう。その時の騒動を、本人はこう振り返る。

「誰が本気で自分のことを『ビッグ』呼ばわりするだろうか。少なくとも、僕はそんな道化ではない」

 発言の前後が省かれ、一部だけが取り出されたことで、世間からのバッシングにつながった。「そこの部分を省略しなければすぐに冗談とわかるような内容だったのに……」と綴るが、こぼれたミルクは戻せない。この発言は「トシちゃんだから」で納得してはもらえなかったのだ。「田原俊彦と言えば、『ビッグ発言』、それが僕の変わらない印象のようだ」「子どもを授かった父親としてのうれしい思いを素直な気持ちで伝えるには、違う方法があったかもしれない」と後悔も滲ませていた。

■ジャニーズは30歳で離れるべきだ

 現在のトシちゃんはといえば、「後半の方が、『今、僕は生きているぞ』という何にも変えがたい実感がある」と肯定しつつも、「もし、僕があのまま事務所に残った場合、どうなっていただろうと考えることがある」など未練ものぞかせる。ただ、「基本的にジャニーズ事務所はティーンエイジャーのための会社であるべきだと、思っている」「あくまでも、僕個人としては30歳を過ぎたら事務所にお世話になるべきではないと思っていた」とも語る。ジャニーズ事務所やジャニーさんへの感謝の心も持ち続けており、

「ジャニーさんの『作品』として田原俊彦という僕があり、事務所に所属していた時に様々な経験を積ませてもらったお陰で、今があるということを忘れることはない」
「虚像の自分を演じきるためにも、僕はアイドル道というものを自覚して、さらにその道を高めなければならなかった」

 なんだか、葉加瀬太郎の曲が流れそうなくらいの集大成ムードだ。でも、「最後の最後の部分では、何を考えているか分からないミステリアスな僕でいたいのだ」と、ちょっと面白いことを言ってバランスを取るあたり、さすが「田原俊彦」を職業とする男だ。

 パフォーマンスや発言、行動、そして本書のタイトル『職業=田原俊彦』。トシちゃんの魅力は、こういった突き抜けた“トンチキ”カッコよさにある。そんなだからこそ、トシちゃんには、書類の職業欄に「田原俊彦」と書いたり、職質でもされた時に、「職業は?」「田原俊彦です」と答えるようなやり取りを見せてほしいと期待してしまう。
(太田サトル)

最終更新:2014/02/16 15:00

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『職業=田原俊彦』
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