「spoon.」斉藤まこと氏の見た「少女文化の変容」

「Olive」は彼方へ――ロリ服東大生・大石蘭、少年装・嵯峨景子が体現する、「擬態としてのファッション」

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左から、嵯峨景子氏、大石蘭氏、高橋律子氏

 1月18日、原宿VACANTで開催された『少女文化研究のリアリティ~100年変わらないもの、刻々と変化するもの』。この日は、金沢21世紀美術館キュレーターで同美術館で雑誌「Olive」(マガジンハウス)の展覧会も開いた40代の高橋律子さん、由里葉名義でNEW ATLANTISというアクセサリーブランドを手がける30代の文化史研究者・嵯峨景子さん、そして今春幻冬舎より『妄想娘、東大をめざす』を刊行する20代のライターの大石蘭さんの東大卒女子三世代が公開鼎談を展開した。

 トーク自体は、それぞれの「少女文化」に対するスタンスが違い、スイングしなかったのだが、それが文化系女子の世代による感性の変容を浮き彫りにしていて、逆に面白かったので今回はそれについて記すことにする。

 まず強く感じたのは、愛読誌=センスの寄港地という前提が、世代が下るほど無効化していたこと。40代の高橋さんは雑誌「Olive」をアイデンティティとする人で、「Olive」をルアーに話を2人に振るのだが、「Olive」文化は通過せず「Mc sister」で育ったという由里葉さんは、意図的に2000年頃のネット文化、「ジオシティーズ」個人サイトに話をシフト。また、常時接続世代の大石さんは、実は小学生時代からホームページを開設していた話を披露。好きな雑誌を自分の「センスの教則本」にして、自分をロールモデル(今回の鼎談の場合なら「Olive」)に合わせていく世代と、たとえつたなくてもまず「自分の感性」をネットに上げてみて、他人の目に晒される中で自分オリジンのスタイルを模索し、研磨していくネット世代との断層が、くっきりと浮き彫りになった。

 率直にいうと、嵯峨さんと大石さんの服飾に対するスタンスは、ゆるふわ系の真逆なのだ。少年装を掲げるだけあって、当日の佇まいもコナンくんぽかった嵯峨さん、バリバリのロリ服にティアラを装着していた大石さん。2人の当日のファッションは学究肌の女性ならではの内発的コスプレだった(それは、小保方さんのあの割烹着ラボスタイルと地続きのものだ)。

 僕はまだ雑誌を作っている身の上ではあるのだが、雑誌が放課後の教科書だった時代って、本当に終わったんだなということを、あらためて目の当たりにしたイベントだった。そして、思ったのは、もし柳川れいが健在でエミリーテンプルキュートを今も運営していたとしたら、きっと大石さんにとってエミリーは小保方さんにおけるヴィヴィアンみたいなメッセージアイコンになっていたのになあ……ということだ。『いつも心に少女。シャーリーテンプル物語2014』(プレビジョン)では、柳川れいの最期の日々が初めて活字になっていて、日本のヴィヴィアン・ウエストウッドに間違いなくなれる才能を持っていたにもかかわらず、不遇な死に至った彼女の最期の日々が露わになっていて、自分が編集した本ではあるのだが112ページを読むたびにグッとくる。

 まあ、でも歴史は巻き戻せない。嵯峨さんと大石さんには大いに活躍してもらって、その内発的コスプレが時代性の産物であることを一日も早く立証してもらいたいものだ。
(「spoon.」発行人・斉藤まこと)

たかが洋服、それが意志や人格も作る

しぃちゃん



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