[官能小説レビュー]

「モテない女の妄想炸裂」男目線の女性の官能小説像に一石を投じる『華恋絵巻』

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『華恋絵巻~美しすぎる官能作家競艶~』/宝島社

■今回の官能小説
『華恋絵巻』(藍川京、蒼井凛花、うかみ綾乃、櫻乃かなこ、森下くるみ、宝島社)

 「官能小説」と分類されるには、ある1つのルールに必ず則っていなければならない。一編の物語の中で、最優先で表現されていなければならないのが、セックスだということだ。私たちにとってセックスとは、あまり大声では話せない、秘密の行為。だからこそ、何よりも他人のセックスが気になってしまうというのも、女の性だろう。

 あらゆる小説の中で、最も異色なジャンルの1つといってもいい官能小説だが、最近では、女性読者が増え、新人の女流官能小説家も続々とデビューしている。「女流官能小説家」という言葉を聞いて、一体どんな人物を想像するだろう? 「セックスを描く」女流作家という肩書から、彼女たちの性癖や男性遍歴など、あらゆる想像をしてしまうのは否めない。

 『華恋絵巻~美しすぎる官能作家競艶~』(宝島社)は、5人の女流作家の作品で構成された短編集だ。「官能小説界の女神」といわれる藍川京を筆頭に、気鋭作家のうかみ綾乃、元CAの蒼井凛花、元AV女優の森下くるみ、現役看護師の櫻乃かなこと、実にさまざまな肩書の作家陣が揃った。
 
 藍川京の作品「紫の万華鏡」は、呉服屋の主人と既婚妻との物語。仕立て上げられたばかりの着物に袖を通した主人公が、高級な友禅をまといながら責められる姿は、しっとりといやらしい。
 
 蒼井凛花の「蜘蛛と蝶」は、六本木近くのハプニングバーが舞台。恋人に連れられて来た主人公は、目の前の光景に目を見張る。あちこちの部屋で、さまざまなセックスを繰り広げる男女を目にし、主人公もまた、ハプニングバーでの快楽に溺れてゆく。

 うかみ綾乃の「押入れ」は、幼い頃の思い出が残る郷里を訪れた主人公が、かつて押入れの中で乳首を舐めさせた従兄弟と再会する。

 櫻乃かなこの「風鈴の鳴らない夜」は、男子看護学生と不思議な魅力を持つ入院患者の女性との話。ある日、病室の中で患者にキスをせがまれた彼は、患者に魅了されてゆく。

 最後に収録されている、森下くるみの「blue」は、家政婦付きの家に住む、優雅な暮らしをしている人妻が、友人と絵画展へ行った帰りに鋭い眼差しの男に声をかけられる。その後、彼女が連れて行かれた場所とは――。

 「女が官能を書く」と聞くと、特に男性からは単純に「欲求不満のモテない女が妄想を小説にしている」と、どこか湿っぽい想像を膨らませる人も多いと聞く。

 しかし、個性溢れる彼女たちの作品を読んでいると、まるで女同士の会話を盗み聞きしているように心が弾む。女たちがセックスを語る時、セックスの行為そのものの話以上に、相手の男性についてのことの方がより多く語られる。例えば、2人の関係性や、彼の性格や背景、そして、相手の男性に抱かれた時の自分の感情――それらをすべてひっくるめて、女性はいやらしさを感じる。女が抱く官能とは、抜き差しだけではない。抱かれる相手と作り出す時間すべてに濡れるのかもしれないと、彼女たちの作品は教えてくれる。

 官能小説を書く女性たちは、私たちとまったく変わらないのではないだろうか。華やかで明るく、そしてどこかあっけらかんとしたいやらしさ溢れる作品に、そんなことを感じる。『華恋絵巻』は、女性にも性欲はある、そしていやらしい妄想だってするということを、まるで女友達が肯定してくれるような1冊である。
(いしいのりえ)

始発待ちの居酒屋でする、女同士の猥談の楽しさ満載

しぃちゃん



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