介護をめぐる家族・人間模様【第23話】

空き家化した義母の家の片づけ、ゴミ屋敷同然の中から出てきたものは……

2014/01/11 19:00
gomibukuro.jpg
Photo by fukapon Flickr

『親の家を片づける』(主婦の友社)を読んだ。親の介護とか死とかあまり考えたくないものだが、親の家を片づける問題もまた厄介で、億劫だ。昔は、長男がそのまま家を継いでいたから、そんな問題は表面化してこなかったのだろうが、離れて暮らす親が亡くなると、家をどうするかは子どもにとって頭の痛い問題となってくる。

<登場人物プロフィール>
中野 静江(48) 伸二さん、3人の子どもと首都圏で暮らす
中野 伸二(55) 静江さんの夫。九州出身
中野 フサエ(92) 伸二さんの実母。夫亡きあとは文子さんと九州でふたり暮らし
中野 文子(65) 伸二さんの次姉。独身

■夫の実家には、室内に“けもの道”

 静江さんの夫、伸二さんは姉4人がいる5人姉弟の末っ子。仕事の関係で、ずっとふるさとの九州を離れている。高齢の母親、フサエさんは夫を20年前に亡くしてからは次女、文子さんと暮らしていた。文子さんには軽い知的障害があった。

「主人は長男なので、義母のことは気にかけていました。といっても遠いので、帰れるのは夏休みとお正月くらいでしたが。私や子どもも一緒なのですが、これが憂鬱で……。義母は悪い人ではないのですが、とにかく片づけができない人なんです。私の親より一回り以上違うこともあって、感覚がとにかく昔の人。貧乏で苦労したこともあって、物を捨てることが罪だと思っている。使用済みの割り箸はもちろん、箸袋さえ捨てないんですよ。それに障害のあるお義姉さんまでいるので、物はさらに増える。家の中には、“けもの道”のような道があって、そこを通って移動するありさま。2~3日しか滞在しないと言っても、この家で食事をするのも寝るのも苦痛でした。少し片づけようと思って、ゴミをまとめているだけでお義姉さんが怒って追いかけてくるんです。『捨てるなー!』って」

 静江さんは苦笑しながらため息をついた。元気だったフサエさんも、80歳を過ぎるとだんだん足腰が弱くなってきた。さらに数年前からは物忘れがひどくなった。

「幸い、近くに主人の一番上のお義姉さんが住んでいたので、頻繁に様子を見に行ってくれていたので助かりました。義母はしっかりした人でしたから、身体が弱ってきてからも、自分で何でもしようという気持ちは強かったようです。トイレの失敗が多くなり、紙おむつを自分でつけるんですが、トイレには使用済みのおむつがたまっている。異臭もすごいんですよ。同居するお義姉さんも60歳を過ぎていたので、お義姉さんのことも心配。私たちには、世話をしてくれている一番上のお義姉さんに、お金を渡すくらいしかできませんでしたが、そろそろ義母と義姉のことを話し合わないといけないと思っていたんです」

『心の中がグチャグチャで捨てられないあなたへ』
波瀾はここから
アクセスランキング