[女性誌速攻レビュー] 「DRESS」1月号

アラフォーはモテより「チヤホヤ」! 「DRESS」のオヤジョ論とその欲望

2013/12/23 16:00
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「DRESS」2014年1月号/幻冬舎

 おハイソでキャリアなインディペンデントウーマンのためのファッション誌としてデビューした「DRESS」(幻冬舎)。しかし、次第に階段を下ってきて、どこにいるんだかわからないハイソなウーマンたちではなく、そこらにいそうなOLさん向けの企画が増えてきました。早速、今月号を読んでいきましょう。

<トピック>
◎湯山玲子の「オヤジョ」に太鼓判!
◎私たちに必要なのは、モテじゃなくて“チヤホヤ”!
◎街空ハ高ク晴レテ 佐野元春

■オヤジョとは、「オヤジと闘う女」のことなり

 今月号の「DRESS」は、「オヤジョ」攻めが復活です。先月号でオヤジョの記載がなかったので、普及をあきらめたのかと思っていたら、ジャンプ前の低姿勢状態だったわけですね。そして今月号では驚くべき事実が。オヤジョって、「オヤジと闘う女」という意味だそうです。今まで登場してきたオヤジョたちから察するに、コーヒーは“もちろん”ブラックで飲む、豪快なオヤジっぽい女かと思っていました。

 新連載の「湯山玲子の『オヤジョ』に太鼓判!」には、こんなことが書いてあります。オヤジョとは、「自立し、自分の実人生を全うするために、社会と自分との快適な関係を、すったもんだのあげくにオリジナルに取得できた女たちのこと」だそうだ。

 筆者を含むアラフォー女たちがまだ新入社員だった頃、オフィスは喫煙可能で、女たちは真っ赤な口紅の跡をタバコにべったりと貼り付けながら、オヤジたちに文句を言っていたものだ。だけどその場所は女子トイレ。当時、あれほど喫煙が一般的であったにもかかわらず、女は同じ場所でタバコが吸えなかったのだ。タバコ友達だった先輩の言葉が忘れられない。「同じ場所で堂々とタバコを吸ったら、男の人がかわいそうじゃない」。今では考えられないセリフじゃないですか。セクハラなどという言葉すらなかったから、日常行われるセクハラに耐えてもいた。よくわからない男尊女卑思想が染みついた時代から、現代までアラフォー女たちは、男(=オヤジ)たちが牛耳る世界で、自分たちの地位向上のために闘ってきたのです。時にオヤジに寄り添う振りをし、時に裏で操る狡猾な術を手に入れたと言ってもいい。まさに「すったもんだ」の果てに、です。そんなことを自分自身思い返しながら、なるほど、湯山さんの定義にはアラフォー世代も大いに共感できると感じました。

■面白い話をしそうな服装って何?

 かと思えば、驚愕の特集が。「私たちに必要なのは、モテじゃなくて“チヤホヤ”!」というタイトルで、アラフォーらしいドレスアップスタイルを提案しています。「オヤジョ認定委員長」の湯山さんによると、「特定の人にモテたい、ではなく、不特定多数からチヤホヤされたい、というのがアラフォーの願望ではないか」とのこと。

 しかし、その“チヤホヤ”されるための提案がすごい。「平板な服装だと話がつまらなそうだと敬遠されがちだから、話がおもしろそうだと期待させる服を着ましょう」なのだ。そうすれば男女問わず人が寄ってきてチヤホヤされるんだって。なんだかもう、涙がにじんできます。社会と自分との距離をすったもんだの挙げ句に確立してきた「自立した女」がたどり着くのが、人からチヤホヤされるためのファッションを選ぶこと? どうしてそこで他人目線なの?

『DRESS(ドレス)2014年01月号[雑誌]』
同じ敵を見つけることで読者から共感を得るスタイルに?
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