深澤真紀の「うまないうーまん」第8回

結婚情報誌は教えてくれない、婚氏続称の落とし穴や「300日問題」の無戸籍児

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イラスト:小野ほりでい

 私の「深澤」という姓は、「フカザワ」ではなく「フカサワ」と読むので、よく読み間違えられる。30年以上も私を「フカザワ」と呼び続ける人もいるが、まあ仕方ないかなと思っている。

 ところで、この氏名の読み方は多くの場合、戸籍や住民票には記載されていないのをご存じだろうか? 戸籍法及び住民基本台帳法では、記載事項に含まれるのは「氏名」(戸籍法13条1号、住民基本台帳法7条1号)のみであり、氏名の読み仮名(傍訓)は記載事項に含まれていないからである。

 もし戸籍や住民票にフリガナを記載してある場合でも、「フリガナ修正」を依頼すれば簡単に直すことができるのだ。だから「深澤真紀」を「フカサワマキ」と呼ぶのに飽きたら、例えば「シンタクマサノリ」と名乗ってもいい。名前の読み方は重要なことのような気がするのに、戸籍や住民票ではそんな扱いなのである。そして多くの人はそれを知らないのだ。
 
 今回も、前々回前回に続き、重要なのによく知られていない「戸籍と婚姻と子供」について、考えていこう。

 前回は「夫婦別姓」について考えたが、結婚によって姓が変わる側(日本では多くの場合は女性だ)にとっては、離婚後の姓も大きな問題になる。離婚した場合は、旧姓に戻るのが民法上の原則で、「離婚復氏」という。しかし仕事で長く使っていたり、子供の姓を変えたくないなど、旧姓に戻らない選択をする女性もいる。これを「婚氏続称」といい、離婚後3カ月以内に役所に届ければ認められる。

ただし再婚し、また離婚する場合は問題が起こる。例えば深澤真紀が佐藤さんと結婚し佐藤真紀になり、離婚しても佐藤真紀を使い続けた状態で田中さんと再婚する。さらに田中さんと離婚する時には、田中真紀か佐藤真紀しか選択できない。深澤真紀には戻れないということだ。やむを得ない事情があれば、家裁に申し立てることで深澤真紀に戻ることもできるが、かなり面倒な手続きになってしまう。

 再婚による子供の手続きもいろいろ面倒だ。男性と、子連れの女性が再婚するケースでは、男女が婚姻するだけでは、男性と子供の間に法的な関係は生まれない。男性と子供が養子縁組することで、親子関係ができ、子供も男性の姓になる。もし養子縁組をしないで子供を男性の姓に変えたい場合は、家裁に「子の氏の変更」を申し立て、夫婦の戸籍への「入籍届」を出すという方法もある。
 
 このように多くの女性は、婚姻で姓を変えると不便を強いられるのに、離婚や再婚によってもますます不便を強いられてしまうのだ。だったら夫婦別姓も選べれば便利なのに、と私は思ってしまうのだけど。

 また前々回は「婚外子問題」について考えたが、婚外子は法律的には「非嫡出子」と呼ばれる。この「嫡出」とは婚姻関係にある夫婦から生まれるという意味で、「正統」という意味もあるため、非嫡出子に対して差別的だからとマスコミなどで「嫡出子」を「婚内子」、「非嫡出子」を「婚外子」と表現することが増えた。
 
 ほかにも、「庶子」や「私生子」という言葉を聞いたことがあるかもしれない。戦前の旧民法は、子供を嫡出子、庶子(婚姻外で生まれ、父が認知した子)、私生子(婚姻外で生まれ、父の認知を受けない子)の3つに分け、私生子<庶子<嫡出子の順番で優遇してきた。婚姻だけではなく、認知のあるなしでも差別をしてきたのである。戦後の新民法では、この差別はなくなったが、それでも婚外子は、婚内子のように戸籍上で「長男」「次男」「長女」「次女」とは表記されず、「男」「女」と表記されてきた。これも10年前に改善され、婚外子も婚内子と同じように表記されるようになった。とはいえ、「長男」「長女」という表記は、その裏に家制度に基づいた「長男信仰」があるようで、居心地が悪い。住民票上では、どんな子供も「子」と表現されるだけである。このほうがシンプルでよいのではないかと思う。

「ドレス美人」よりも、人生に重要な法律関係を教えてくれよッ!

しぃちゃん

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