『夜の日本史』著者・末國善己氏インタビュー

「謙信はガチホモ」「秀吉はブスとヤらない」歴史上の偉人、“男”としての楽しみ方

2013/12/18 21:00

――謙信にせよ信長にせよ家康にせよ、恋愛について非常に利己的で打算的なんですね。秀吉にしても、自分のコンプレックスを打開するために女性を利用しているだけな気が……。

末國 戦国武将というものは、戦いの場に身を置く立場なので、恋愛も合理的に考えるのは当然でしょう。現代の女性にとっては、戦国武将より、温和で教養のあるお公家さんの方がいいかもしれません。平安時代に在原業平(ありわらのなりひら)というイケメンがいました。官僚であり、歌人としても有名な人物です。ただ、天皇の許嫁や、伊勢神宮に仕える巫女にちょっかいを出すなど、性的にはかなりアグレッシブだったようです(笑)。経験人数も多く、3,733人といわれています。

――そんじょそこらのAV男優さんよりも、よっぽど場数を踏んでいますね(笑)。

末國 お公家さんではないのですが、源義経は奥州藤原氏の元で育った影響で、武士といっても温和で教養もありました。イケメンのイメージが強いのは、歌舞伎の影響が大きいのでしょう。出っ歯のブサメンだったという説もあるんですけどね。そうそう義経といえば、当時も「同人誌」のようなものが存在していたんですよ。そこには、義経と建礼門院徳子(平清盛の娘)のセックスを題材にした作品もありました。

――お公家さんになると、途端に性の匂いが……(笑)。時代を早回しにして、幕末の人物はいかがでしょう?

末國 例えば坂本龍馬。彼のような“革命家”って、今も昔も女性にモテるんです。龍馬は港ごとに女がいるようなタイプでした。妻として有名なお龍も、現地妻だったとの説もあります。龍馬はトークがうまかったので、男女問わず人に好かれる性分でしたが、梅毒に感染していて髪の毛が薄かったともいわれています(笑)。

 あと、女性に人気の新撰組・土方歳三は、あちこちに馴染みの芸者がいました。今風に言うと、キャバ王みたいなものですよ。キャバクラ勤めの女性にとっては、良いお客さんになってくれるかも……という感じです(笑)。

――末國さんのお話を聞いて、彼氏に最適なのは女慣れしていそうな在原業平だと思いました。セックスという観点で考えると、あの織田信長を満足させていた森蘭丸が気になります。

末國 蘭丸は、マッチョの武闘派というだけでなく、頭も良かったんです。織田信長は、結論しか言わない人物でした。ただ、蘭丸だけは、信長の思考を理解できていたようですから、頭脳明晰な人物だったとも言えるでしょうね。

――つまり技巧的にもスタミナ的にも、最高のセックスが期待できそう……ということですね。

 生まれや身分によって、恋愛やセックスに大きな違いが出る、歴史上の男たち。現代のマニュアル化された男に物足りなさを感じている女性は、ぜひ歴史上の男たちに思いを馳せてみては?
(取材・文=菊池美佳子)

末國善巳(すえくに・よしみ)
1968年広島県生まれ。文芸評論家。時代小説とミステリーを中心に、評論活動を行う。現在、「STORY BOX」「女性セブン」などに書評を連載中。著書に『時代小説で読む日本史』(文藝春秋)、編著に『小説集黒田官兵衛』(作品社)、共著に『読んで悔いなし! 平成時代小説』(辰巳出版)などがある。

最終更新:2013/12/18 22:13
『夜の日本史』
秀吉とはマジでヤリたくね~!
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