【連載】ブラック企業<黒の社則>

外国人研修生=社長のセックス要員? ブラック企業の知られざる<黒の社則>

2013/12/01 19:00

「残業100時間超えの勤務体系」「エロ上司からのセクハラ」「洗脳じみた体育会系社員研修」「妊娠したら自主退社という社風」――働く女誰しもが恐れる「ブラック企業」がはびこる時代。ネットを炎上させるブラック企業は、氷山の一角にすぎない。まだ日の目を見ていない、戦慄必至の「ブラックofブラック」な企業をご紹介する。

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Photo by ILO in Asia and the Pacific from flickr

【黒の社則 第1条】
女性社員寮の鍵を社長が管理、夜間の布団内見回りもアリ
(某大手自動車メーカー関連会社)

 ブラック企業の例として、ベンチャー企業の名が取り沙汰されることがよくある。駆け出しの企業だからこそ、ムチャクチャな労働条件がまかり通ってしまうことは多いが、実は、誰もが知る超大手企業が、実は真っ黒だったということが、ままある。例えば、某大手自動車メーカーとその系列企業は、業界内では有名なブラック企業だ。

 その自動車メーカーは、子どもから高齢者まで誰でもよく知っている、極めて知名度の高い有名な企業である。テレビの日常的に見る人なら、この企業のCMを一度も見たことがないということはありえないだろう。社名を冠にする、その企業独自の生産方式は、あくまで利益や効率を最優先させるシステムになっている。そのため従業員たちには、物理的および精神的に多大な負担がかかり、その結果、体調を崩したり、うつ状態になったりするケースが続出。中には過労死や自殺にまで至る事例も起きている。

 さらに、下請のグループ企業では過酷な労働条件だけでなく、パワハラやセクハラも横行している。とりわけ女性にとって大問題なのがセクハラだ。昔に比べて企業等への女性進出が進んだとはいっても、まだまだ日本の会社や組織は男社会である。それは、社員の女性の比率が高いか低いかではわからない。組織の風土そのものに、旧態依然とした体質がしみついてしまっているのである。そうした企業ではセクハラが放置されてしまう傾向が強く、このグループにも一部にそうした傾向がみられる。その中でも耳を疑いたくなるようなものが、ある協力企業で続けられていた外国人女性に対する逸脱行為である。

■国際貢献という名の愛人ハンティング

 その企業では、ラインの生産工として、ベトナム人の女性たちを外国人研修生として雇い入れていた。外国人研修生とは現在は制度が改正されて実施されていないが、「国際貢献」という目的で、技術や職能の取得のために日本企業が海外からの人材を受け入れるものなのだが、労働法の対象外となってしまうために、さまざまな人権無視や不正行為が横行した時期があった。

 まず、社長自らが現地ベトナムまで行って面接を行い、女性たちを選んでいた。選ばれたのは10代後半から20代の、しかも美人ばかりだったという。そうして日本にやってきた彼女たちが、どのような扱いを受けたか。事情をよく知る地域労働組合の関係者は次のように話す。

「彼女たちは、社員寮に住むよう社長本人から指示されていました。ところが、その寮の個室の合鍵を、社長が保管しているのです。もちろん、ただ鍵の管理しているだけではない。夜になると、社長がその寮にやってきて、勝手に部屋まで入ってくる。そして、挙げ句は、彼女たちが寝ている布団の中まで潜りこんでくるんです。詳しく言わなくても、どういうことかわかりますよね……」

 これは安っぽい時代劇や出来の悪いテレビドラマの話ではない。ほんの数年前まで、現代の日本で起きていたことである。しかも、下請企業とはいえ、名もない町工場ではない。「天下の」「世界の」と呼ばれている大企業のグループに所属する会社のトップが、かくも恥ずかしい行いを繰り返していたのだ。

『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪(文春新書)』
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