映画『ラブクラフトガール』イベント

イボつきに興奮する男の謎――「肥後ずいき」に見た、男性器を“デコりたがる”男の願望

2013/11/09 16:00
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 去る10月29日、女性用ラブグッズ開発の舞台裏を描く映画『ラブクラフトガール』の公開記念イベントが開催された。登壇者は司会の今野美里、元AV女優で『アラサーちゃん』(メデイアファクトリー)著者として知られる漫画家・ライターの峰なゆか、AV監督であり劇団「ブス会」主宰のペヤンヌマキ、お笑い芸人のまぁこの4人。

 イベントは三部構成であり、第一部は、LCコスメティックの公式アンケートやラブグッズの古今東西クイズを軸に登壇者が熱く持論を展開させ、第二部では『ラブクラフトガール』の平林克理監督、女優の羽鳥名美子、同じく女優の神戸アキコを交え、撮影時のエピソードやLCコスメティック社のラブグッズに対する思いを穏やかに語り、第三部ではラブグッズの抽選会そして4人の登壇者へのQ&Aが行われた。

 LCコスメティック社が行った「ラブグッズ使ったことある?」のアンケート結果から始まった第一部。その後に続いた司会者からの、「好きなラブグッズありますか?」という質問に、峰は「一番好きなのはぁ女助棒(読み方:すけすけぼう)ですぅ」と答えた。「なにそれ!」と反応する司会者、まぁこを横目に、ペヤンヌマキが静かに「それ、わたしも好きです」と同意した。「AVでは結構出てくるんですけどぉ、あんまり知名度はないんですよぉ。オモチャの中ではぁ、男女で使うのならばぁ、あれが一番いいとぉ思うんですよぉ。バイブを男女で使うのってぇ結構難しいじゃないですかぁ。だってぇバイブよりぃ彼氏のチンコの方が小さかったらどうするのって感じですよね〜!! イタリアンスティックはぁ(女助棒の別名)、細い棒の先に丸い玉がついているっていうぅ人体にない形状でぇ、手マンともぉ挿入ともぉ違う感じが得られるんですよぉ。だからカップルで使うならぁ私はイタリアンスティックがおすすめですぅ」と峰は熱く語り続けた。

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左から、司会の今野氏、峰氏、ペヤンヌマキ氏、まぁこ氏

 また、まぁこさんは「バイブとかは手が出しづらいんですよね。だけど、LCさんから出ているお風呂に入れるトロケアウっていうローション……めっちゃいいんです! お風呂の中に入れるとお湯が全部ローションになるんですよ。カップルで使ってもいいし、1人だったらマッサージしながら半身浴しながら使うってのもありだし」と、ラブグッズ初心者の女性目線でお気に入り商品を紹介した。LCコスメティックのさまざまな商品を5年以上前から使っているという司会者も、「私もそれ大好きです!」と同意していた。

 その後は、「ラブグッズを使ってみた後のメリットは?」というアンケート結果が発表され、1位がストレス解消、2位がよく眠れる(以下、省略)という結果が飛び出した。司会者の「エッチなイメージだけでなく、すごく体にも良いという答えがたくさん出てますね」から、峰も「私もぉ、漫画とかの締め切りが過ぎてぇ、編集さんからがんがん電話がかかってくる時はすっごぉいオナニーするんですよぅ~」と、ストレス解消支持派に票が入り、同じくペヤンヌマキも「焦った時ほどしたくなる。危機を感じた時にしたくなる」と同意した。司会者も「オナニーするとリラックスするというか、よく眠れますよね~」など、「アンケート答えたのはお前らかっ!」と、ついつい突っ込みたくなるような返しをテンポよく行った。

 アンケート結果が終わると、「電動バイブ誕生のきっかけは?」から始まるラブグッズ古今東西クイズが行われた。電動バイブはイギリスが発祥の地だそうだ。当時イギリスでは、女性のヒステリーは病気として認められており、治療のために性器の直接マッサージが行われていたとのことだ。「女がキーキー言ってたらなんか突っ込んでおけ! という発想」と峰が軽快に答え、司会者は「バイブを使うって、エッチなイメージだけでなくリラックスのため、体にいいものなので、ということなんですね」と、再びリラックス効果押し。最後に峰が、「現代でもぉ、なんかぁ、ちょっとぉ心を病んでる女性はぁ男根を求める傾向があるじゃないですかぁ。やっぱりぃ彼女たちもぉ実際に治療しようとしているんだと思いますね〜」と、「おっさんか!?」と突っ込みたくなるような、まとめ方をした。この電動バイブ誕生話は『ヒステリア』という映画になり、今年公開されている。こちらも興味深い。

 また、江戸時代には献上品としても利用されていた性具「肥後ずいき」のイボイボした形状の話から、峰が「昔からぁ男の人ってぇイボつきのコンドームとかにぃ異様に興奮しますよねぇ。あれぇ、女からするとぉ全然わかんないですよね。でもぉ、『今日いつもと違った!』みたくぅ、すごぉく興奮するからぁ、男性器に装備させるのはぁ昔から好きなのかなぁってぇ。パワーアップさせるみたいなぁ」と発言し、登壇者全員が笑って同意した。

 ペヤンヌマキが「アダルトグッズのイメージとは?」という質問に対し、こう答えていた。「おじさんが、女とヤル時、女をイカせるために使うグロい大人のオモチャのイメージ」。しかし最近では、アダルトグッズはラブグッズという名前を与えられ、「女が、1人でヤる時、自分を満足させるために使う可愛いオモチャ」という一面も持ち始めている。

 突然だが、ハーゲンダッツが日本上陸の際に仕掛けたイメージ戦略を知っているだろうか。当時、日本ではアイスといえば「子どもが昼間に食べるおやつ」であった。しかし、ハーゲンダッツは「大人が夜に楽しむスイーツ」と新しい価値観を提示することにより爆発的なヒットを収めた。今ではお馴染み戦略のことなので「そんなことで?」と驚く人もいるだろう。でも当時は新しかったのである。そして、ラブグッズ業界もその道を歩み始めているのだ。

しかし、ラブグッズのリラックス効果に、私は疑問を感じていた。1人でヤッてリラックスを感じたことなんて一度もないからだ。新しく提示された価値観や効果が、その時の自分にとって合う、合わないはあるだろう。だけど、知っているということは大きな意味がある。ラブグッズがハーゲンダッツのように大掛かりな広告を打てるような時代は、当分こないだろう。そう、この新しい価値観を知らないで死んでいく女もたくさんいるのだ。ならば、私だけでも知っておこう。「ラブグッズは、女が1人エッチをする時に使う可愛いオモチャ。しかもリラッククス効果がある」――頭の片隅にメモを残した。
(白熊春)

■『ラブクラフト・ガール』舞台挨拶付き完成披露試写会
11月11日(月) 21:00開場/21:15開映
ヒューマントラストシネマ渋谷 スクリーン3
東京都渋谷区渋谷1-23-16 ココチビル7・8F

応募詳細は公式サイトにて

最終更新:2013/11/09 16:11
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