大久保ニューの【美のぬか床】 第8回

W浅野の劣化で笑えるのは若い証拠! ホットヨガで『抱きしめたい』体作りよ!

2013/10/27 16:00

美しくなりたい――世の女たちの狂おしい思いを、「43歳、ゲイ、汚部屋に一人暮らし」の漫画家・大久保ニューが担ぎ込む! 古今東西あらゆる美容法に食らいつき、美を追い求める女の情念まで引きずり出す――

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(C)大久保ニュー

 10月某日、私はホットヨガ教室の受付にいた。「ヤセたい!」とは前々から思っていたが、今の私は「輝かしい未来のために!」という気持ちだ。というのも先日、14年ぶりに制作されたW浅野が主演のドラマ『抱きしめたい!Forever』(フジテレビ系)を見たからだ。気分的には「W浅野のようになりたい! Forever」だった。

 断っておくと、25年前の連ドラ時代から、特にこのドラマを好きだったワケではない。「シラジラしい会話がキツい……」と眉をひそめていたくらいだ。14年前の『抱きしめたい!世紀末スペシャル』を見た時には、「ちょっと、首のシワが!」とか「驚いた顔が、必要以上の怖さを表現しちゃってるとこが『世紀末』だね☆」なんて、当時はなかった言葉だが「劣化」を見つけては意地悪に喜んでいた。そんな私が、今回のドラマを見て、W浅野に猛烈な憧れを抱いているって……なんで!?

 サイゾーウーマンの記事の中でもキラーコンテンツであるらしい「劣化」。美しさや可愛らしさの象徴であったはずの芸能人が、いつの間にやら老け込んでいたという衝撃は、テレビのこちら側の我々に色々な感慨を与えてくれる。単純に「残念……」という気持ちもあるだろう。「人間誰しも老いるんだ」という安心感もあるかもしれない。そして、「私だって、顔がよければ……」とか「運さえよければ……」と、芸能人に対して愛憎入り交じった羨望を持った人間にとっては、「へっへーん☆アンタの時代ももう終わりだね」と、意地悪心をくすぐる事件となる。特に若いコにとっては、前の世代のアイコンが劣化することは、自分たちの時代がやってきたような痛快さもあるのかもしれない。

 14年前、私は当然のごとく14歳若かった。まだ20代だ。体型もシャープだった。まだまだエッジの効いた発言をすることに、純粋に憧れていたと思う。14年前の『抱きしめたい!』を意地悪に見てしまったのは、「若かったから」ということだろう。そして14年後の今現在、W浅野たちの友情物語をとても輝かしく思えたのは「年を取ったから」なのだろう。おそらく若い世代は「何で、おばさんたちがキャッキャしてるの?」と思ったであろうドラマの内容も、「この先もポップに生きられるってうれしいことだなあ……」と、しみじみ思えた。だって閉経後の女性が主役になれるドラマなんて、「家族問題」とか「積年の恨みによる殺人」とかでしょ? 確かにこのドラマも「子どもを産まなかった女たちの人生」というテーマはあったけれど、W浅野たちがポップな演技で見せてくれた「恋と友情」は、ありがたいくらいに素敵だったのだ。

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